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2021.08.10
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[SIerを訪ねてvol.19]「研削盤SIer」を本格化/技研

グループとして自動化に注力

グループ企業の岡本工機でのロボットシステム化の事例、協働ロボットも使用

 岡本工作機械グループでは、製造や販売、サービス、レトロフィットまで「一気通貫」の体制を取ってきた。  技研はレトロフィットを担うとともに、高精度な円筒研削加工には欠かせないセンター穴研削盤というニッチな研削盤の開発、製造も長年担当している。  円筒研削加工の際はワークを固定するセンターという補助器具を使うが、ワークにセンターを刺すためのセンター穴を作る。高い精度で加工するためには、そのセンター穴にも高精度が求められる。他にもさまざまな専用研削盤のOEMなども担う。  従来、研削加工は製造現場の中でも自動化の進みが遅いとされてきた。しかし近年、自動化やロボット活用のニーズは高まっており、グループとしての方針も、研削盤の自動化を強力に推し進める方向に進む。  特に平面研削盤はワーク固定の位置決め誤差を極小化すべく、センサーで測定した数値をフィードバックして研削加工の精度を上げる機構へのニーズが増えるとみる。つまりオプションとして工作機械からワークを取り外すことなく計測する機上計測を組み込むなど、高度なシステム化の増加も想定する。「技研の出番も今後一層増えるはず」(小清水社長)。  岡本工機の案件では、例えば、小型マシニングセンタ2台をロボットで連結するシステムを組んだ。また、内面研削盤にローダーという専用装置を付け、さらにロボットを取り付けたシステムの事例もある。その他、人が張り付いていたひずみ取り機での作業をロボットシステム化し、省人化を図るなど、大小さまざまな自動化案件を扱ってきた。

SIer事業を柱に育てる

 研削加工における自動化ニーズが高まり、今後はSIer業務の増加が見込まれる。「課題は人材の増強。しかし、図面を的確に読み取れるような一人前になるには10年かかるとも言われる世界で、経験を多く積み、学び方を工夫するなどして、4~5年で何とか一人前になれるよう人を育てたい」(小清水社長)。  技研が未来像として描くのは、SIer事業を一つの柱として大きく育てることだ。「レトロフィットなどで磨いた技術力で、グループの成長に貢献したい。やがてSIer事業もグループの柱となるよう、これまで積み上げてきた技術をさらに高めていきたい」と小清水社長は力を込める。

メインの事業である研削盤のレトロフィットで技術力を磨き上げた
精度復元や機能強化を施した多くの研削盤を送り出している

(ロボットダイジェスト編集部 芳賀 崇)

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