工場から人を消す! 画像検査からロボットへ【後編】/リンクス 村上慶社長
AGV用の制御ソフトをラインアップ
――特徴は? スラム式では、周辺の地図を作成し、周辺環境から自己の位置を推定することで自律移動を可能にします。ナビテックのシステムは一般的なスラム式と異なり、自己位置推定の基となる壁面などが2割しか見えない、障害物が多い環境でも使えます。一般的なスラム式と区別するため、われわれは「NFN(ナチュラル・フィーチャー・ナビゲーション方式」と呼んでいます。また、停止位置の精度が±10mmと高いのも特徴です。他製品では高い停止精度が求められる場合、位置決めだけ別方式で誘導することもありますが、このシステムならそれは不要です。日本ではまだまだ昔からある磁気テープ式が9割を占めますが、欧米では半分がその他の新方式のAGVに移り変わっています。日本の競争力を高めるためにも、新世代のAGV普及に貢献できればと思います。 ――制御ソフトということは、AGVメーカーが顧客になるわけですね。日本国内でもAGVを新たに作ろうという企業は多いですか? いわゆるAGVメーカーだけでなく、加工設備のメーカーが付帯設備として開発したいなど、多くの引き合いがあります。外販用だけでなく、大手企業の社内設備用としても使えます。技術力のある製造企業ならAGVのハードウエアを開発するのは難しくないため、制御ソフトのニーズは意外なほど大きいです。
自動化のレベルを上げるには“目”が必須
――ロボットピッキングやAGV制御ソフトなど、ロボットソリューション事業に力を入れる理由は? 前編でお話した通り、わが社の目標は「工場から人を消すこと」です。製品検査の自動化は以前から得意でしたが、その前後に人手による搬送やピッキングがあると無人化できません。「検査対象の部品が入ったコンテナを搬送する」、「そのコンテナから部品を取り出し、自動検査ラインに流す」、こうした前後工程まで自動化できるよう、扱う製品分野を拡大しました。 ――今後、ブランドをさらに増やす予定はありますか。 具体的なことは言えませんが、今後もまだまだ増やしていく方針です。将来ロボットは、決まった場所で淡々と作業をこなすのではなく、人と同じように自律的に移動し、判断しながら作業する「アーティフィシャルワーカー(人工労働者)」とでも呼ぶべき存在になると考えています。そうした高度なロボットや自動化システムに“目”は必須です。「工場から人を消す」の実現に向け、これからも優れた製品を世界中から探して日本に紹介できればと思っています。
(ロボットダイジェスト編集デスク 曽根勇也)
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