[ショールーム探訪 vol.22]“共創”拠点を設けたデベロッパーの決意に触れた/野村不動産「TechrumHub」
展示だけでなく、実証試験も
テクラムハブでは現在、13個の取り組みを展示する。その提案の幅は広い。 例えば、自動倉庫などのエンジニアリングを得意にするAPT(千葉市美浜区、井上良太社長)は、中国メーカーのGALAXIS(ギャラクシス)と共同開発した自動倉庫「Hive(ハイブ)」をアピールする。上下前後左右と動き回れる搬送ロボットがコンテナを運ぶ。 また、自律走行型搬送ロボット(AMR)を使い、搬送台車が商品を作業者の手元まで運んでくるグッズ・トゥ・パーソン(GTP)方式のピッキング作業や無人搬送フォークリフト(AGF)も展示している。 同じく自動倉庫などのエンジニアリングが得意なPAL(大阪市西区、辻有吾社長)もGTP方式のピッキング作業を展示する。 こちらは、展示だけでなく小売大手のイオングループと実証試験を進めており、近隣の総菜工場で使う食品素材の出荷拠点として稼働している。食材メーカーや商社から送られた素材を入庫し、総菜工場からの納品指示に応じて発送する拠点だ。 従来は作業者が棚の間を歩き回ってピッキングしていた。従来では、翌日分の用意まで含めると、午後5時の定時を過ぎることも少なくなかった。しかし、GTPを導入した実証現場では作業員を減らした上で、午後3時には作業が落ち着いているという。
ロボットから、からくりまで
日本製紙ユニテック(静岡県富士市、上田彰司社長)やトーモク、なんつね(大阪府藤井寺市、南常之社長)は、共同で米国ROBOTICA(ロボティカ)の段ボール自動開梱機「ABOT(アボット) M1」を提案する。 先端に刃を装着した産業用ロボットが、段ボール箱の側面の上側を4辺全て切る。次工程で切り取った上部を別な産業用ロボットや作業者が取り、開梱する。これにより開梱工程に必要だった作業員の人員削減や作業効率の向上を図る。 アルミ製構造材大手のSUSは、アルミフレームを使った各種機器を提案する。軽量な搬送台車や、いわゆる「からくり機構」などを追加して作業しやすいように簡単にカスタマイズできる作業台、2m以上の高さとなっても「高所作業」の扱いとならずに誰でも使える昇降台などを展示している。軽量な搬送台や作業しやすい作業台で、作業者の負担軽減につなげる。 他にも、倉庫の在庫状況などを管理する倉庫管理システム(WMS)と、倉庫内の機器などを制御管理する倉庫運用管理システム(WES)といったデジタル技術や、どの棚のどの位置の荷物を取り出すかを、ふたの開閉やライトの点滅で指示するデジタルピッキングシステムなど幅広く展示する。