[SIerを訪ねてvol.1] 食品向け開拓し、組み合わせ技術磨く/オフィスエフエイ・コム【後編】
他社の技術者育成にも貢献
「スマラボは顧客にロボットシステムを提案するショールームであると同時に、社内外の技術者育成のための施設でもある」と飯野社長は言う。 地域の公的な団体が主催するSIer育成セミナーの会場として使ってもらうほか、同業者であるSIerの見学も受け入れる。 自社のノウハウやアイデアも隠さずに公開する。 例えばスマラボにある下の2つのロボットシステムはどちらも、ロボットを載せたキャスター付きの台車でシステムを構築したもの。ロボットを上からつり下げて使うことでコンベヤー上部の空間を有効活用し、広い作業エリアを確保できる。
左がおにぎりを容器に詰めるシステムで、右はベルトコンベヤーを流れてくる製品の種類を判別して仕分け作業をするシステムだ。 「用途変更ができる柔軟性の高いシステムを求める顧客は多いが、このように作れば簡単にシステムの組み換えができる。こうしたアイデアやノウハウも他のSIerと共有したい。ロボットシステムの需要は右肩上がりで、当社だけでは受けきれない大型の案件がまだまだある。一緒にチームを組める技術力のあるSIerが増えるのは当社にとっても喜ばしいこと」と飯野社長は言う。
アジアで活躍する技術者を養成
同社は2005年に中国に現地法人を設立したが、今年5月にはタイとベトナムにも現地法人を設立するなど、東南アジアに積極的に進出する。 現地で日本と同様の高度なシステム構築を可能にするため、現地法人がある各国や、今後の工業化が期待されるミャンマーなどから数十人を日本に招き、スマラボでSIerとしての技術を学ばせている。十分な技術を習得したら帰国し、現地法人の技術者として活躍してもらう。 「現地社会に溶け込むには、日本人を派遣するよりも現地の人を育てた方が良い。数週間といった短い期間ではなく、5年や10年など長期間かけて育成する。基礎から最先端の応用技術まで全てが分かる技術者として現地で活躍してもらいたい」(飯野社長)。 ミャンマーのティラワ工業団地など、東南アジアでは新たな大規模工業団地が次々に造成される。「ロボットのシステムインテグレーションをする技術者は何人いても足りない」と飯野社長は話す。
――終わり (ロボットダイジェスト編集部)
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