[ロボットが活躍する現場vol.36]樹脂成形の現場が一変! 5年で生産性2倍に【後編】/石川樹脂工業
ロボット以外でも省人化する社風に
さらに、ロボット以外でも、省人化を推し進めている。 例えば、生産管理システムを「ほぼ」内製した。「ほぼ」としたのはインターン生として迎えた高等専門学校の学生を中心に開発したから。その学生は高専の卒業後にソフトウエア開発の企業を立ち上げた。今でも石川樹脂工業の生産現場で使うシステムやソフトを共同で開発している。 在庫管理のために、2次元コードと無線でタグを読み取る無線周波数識別(RFID)タグ、表計算ソフトを組み合わせたシステムも、その一つだ。 この5年で、幅広い自動化や省人化の施策を推し進めて、生産現場の様子が一変した。 以前は、工場の射出成形機の稼働率が30%~40%と低かった。しかし、現在では平均80%に上がった。さらに、生産現場の作業者は39人から16人に減らせた。作業の自動化や間接業務の効率化を図り、作業者は付加価値の高い作業に集中できるようになった。 結果的に、5年前と比べて従業員一人当たりの売上高が約2倍になったという。
現在は、元インターン生のソフト企業と人工知能(AI)を使った外観検査ソフトを開発している。驚くべきは、数年前の型式のスマートフォン(スマホ)で使える点だ。 「数年前のスマホでも、カメラの解像度も処理能力も十分足りるようにソフトを開発し、いま生産ラインで実証している。中古のスマホで外観検査できれば、ハードウエアの導入価格を一気に下げられ、わが社のような規模の中小製造業でも気軽に導入できる」(北村マネージャー) 今後は完成し次第、同ソフトなどの外販も進めていく。また、ロボット活用を視野に入れる北陸地域の企業の見学も積極的に受け入れる方針だ。 石川会長は「ロボットの導入から、社風が変わった。あの時、息子の石川勤専務と北村マネージャーからの申し出を受け、リスクを取って本当に良かった」と話す。
(ロボットダイジェスト編集部 西塚将喜)
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