• 活用事例
2020.01.22
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[ロボットが活躍する現場vol.11]ロボット導入は将来への種まき、目指せ「ワクワクする工場」/梶製作所

省人化や省力化のモデル工場に

「『ワクワクする工場』を目指す」と語る梶司郎専務

 梶専務は、加工事業の工場を「将来は省人化や省力化のモデル工場にしたい。ロボットや無人搬送車が現場を動き回り、子供たちにも興味を持ってもらえるような『ワクワクする工場』を目指す」と意気込む。  ロールやシャフトを加工する旋盤をはじめ、冷間鍛造用のプレス機械など計32台の設備を保有する。  設備自体は決して特殊なものではなく、一見すると普通の町工場と変わらない。しかし、梶専務が思い描く将来構想への種まきの一環として、ロボットを使った自動化システムや、モノのインターネット(IoT)技術を駆使した設備の稼働監視システムが導入されている。

設備32台の稼働状況を可視化

写真右上の装置で設備の稼働状況を可視化する

 同社がIoT技術を取り入れたきっかけは、08年のリーマン・ショックだ。  日本ではそれまで、量産を事業の中心とする中小企業が多かったが、リーマン・ショックを機に多品種少量生産が増えたという。同社も例外ではなく、多品種少量生産の比率が高まった。量産が中心だった時代と比べて、生産品の切り替えにかかる手間が増加し、機械が止まっている時間が増えた。  「機械がなぜ止まっているかを可視化したい」と梶専務は考え、稼働監視システムを19年に導入した。  オフィスエフエイ・コムと協力関係にあるFAプロダクツ(東京都港区、貴田義和社長)の稼働監視システムと生産計画シミュレーターを採用し、現場の32台の設備の稼働状況を可視化した。石川県の補助金制度も使いながら、総額で500万円ほど投資した。  梶専務は「生産性がどれだけ向上したかを検証するのは現時点では難しいが、設備稼働に関する情報収集を効率化できた」と手応えを語る。  目下の課題は、ロボットエンジニアの育成だ。自社でSIerとしての役割を果たせるよう、ロボット関連の教育に力を入れる。  また、梶専務は「FAプロダクツやオフィスエフエイ・コムとも協力し、ゆくゆくは自社で導入した自動化システムやIoT技術を他の中小企業にも水平展開したい」と先を見据える。

(ロボットダイジェスト編集部 桑崎厚史)

※この記事の関連記事は「月刊生産財マーケティング」2019年12月号でもお読みいただけます。

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