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2023.04.19

事業引き継ぎ新たなスタート、工場・物流センターの自動化や商品パッケージ化に商機/新エフエイコム 大矢英貴 社長

新エフエイコム(栃木県小山市、大矢英貴社長)は、昨年10月設立のロボットのシステムインテグレーター(SIer、エスアイアー)だ。機械や鉄鋼を扱う商社の岡谷鋼機が100%出資する。昨年民事再生を申請したオフィスエフエイ・コム(栃木県小山市、飯野英城社長)からSIer事業を継承し、岡谷鋼機グループとして再出発を図る。一度は経営破綻した事業を新会社としてどう立て直し、発展させるのか。大矢社長に話を聞いた。

協業関係からグループ化へ

オフィスエフエイ・コムからSIer事業を引き継いだ新エフエイコムの大矢英貴社長

――オフィスエフエイ・コムのSIer事業を継承されました。
 昨年10月に会社を設立し、12月に事業譲渡を受けました。年末年始は社内体制の整備などであまり動けませんでしたが、最近はオフィスエフエイ・コムと取引があった方々に「事業を引き継ぎました」とあいさつし、今後の方針などを説明して回っています。

――オフィスエフエイ・コムが民事再生を申請した時、大矢社長は岡谷鋼機の取締役でしたね。
 そうですね。今でもグループ企業の新エフエイコムの社長として、岡谷鋼機の取締役を兼務していますが、新エフエイコムの社長に就任する前は岡谷鋼機で大手ユーザーを中心に工場向け生産設備、搭載部品・工具類などを扱うメカトロ本部の本部長でした。

――岡谷鋼機がオフィスエフエイ・コムからのSIer事業の譲渡に手を挙げた経緯を教えてください。
 岡谷鋼機は以前から、オフィスエフエイ・コムと付き合いがありました。メカトロ本部ではここ数年、ロボット分野の強化に注力し、同社とも自動車関連の大手企業の自動化プロジェクトなどで連携してきました。また、昨年3月に今後さらに協業を深めるべき企業を3社ピックアップしたのですが、そのうちの1社が同社でした。昨年夏に同社が民事再生すると知り、再生のスポンサーを探していたので「それならば」と手を挙げました。

ソフト・ITに強い技術者も豊富

同社の東間々田工場内にあるショールーム「スマートファクトリーラボOYAMA(小山)」

――御社が引き継いだ、オフィスエフエイ・コムのSIer事業の魅力は?
 まずは、特定のロボットメーカーに依存せず、幅広いメーカーのロボットを扱える点でしょう。ショールームにも、ファナック、安川電機、川崎重工業、不二越、デンソーウェーブ(愛知県阿久比町、相良隆義社長)、三菱電機、セイコーエプソンなど、さまざまなメーカーのシステムを展示しています。

――他には?
 豊富な人材です。機械や電気に加え、ソフトウエアやIT関連の技術者も多数いて、一気通貫でシステム構築が可能です。SIer業界は10~20人程度の小規模な企業も多く、自社で対応できない部分は外注に出すことが一般的ですが、社内で完結できればそれに越したことはありません。社員数190人規模で、幅広い技術を社内に保有することは大きな強みです。ロボットも含めた各設備がモノのインターネット(IoT)システムでつながり、それらのデータが上位のシステムと連携するような「スマートファクトリー」もわが社なら構築できます。次世代型のデジタルファクトリーを実現するための企業コンソーシアム「Team Cross FA(チーム・クロス・エフエー)」の幹事会社もオフィスエフエイ・コムから引き継いでおり、さまざまなパートナーとの連携も可能です。

――岡谷鋼機グループとしてのシナジー効果は?
 岡谷鋼機は全国に拠点を持ち、海外にも展開しています。販売や調達では岡谷鋼機グループの強みを生かせると思います。またこれまでは本社がある栃木県小山市に拠点が集中していましたが、岡谷鋼機や岡谷鋼機と付き合いがある各地のSIerなどとも連携し、名古屋や大阪、九州など大需要地できめ細かい現地対応ができる体制も整えていきたいです。オフィスエフエイ・コムはもともと技術力には定評がありました。その上で、販売や経営などこれまで少し弱かった部分が補完されるため、岡谷鋼機のグループ企業であるメリットは大きいと思います。

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