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2020.11.05

産業ロボット向けも拡充 アルミ構造材のSUS【後編】

アルミ製構造材大手のSUSが、産業用ロボット向け製品を拡充している。前編で紹介したパラレルリンクロボットを取り付ける架台(アルミフレーム)に加え、今年8月には、ファナックの協働ロボット「CRXシリーズ」専用のアルミ製台車が完成した。安全柵なしで稼動できる協働ロボットは、状況に応じた頻繁な移動が求められる。SUSのアルミ製台車なら軽く、キャスター(車輪)付きで簡単に現場間を移動させられる。開発を担当した第1開発グループソリューションチームの伴野慎哉チームマネージャーに話を聞いた。

「CRXシリーズ」の専用台車に

伴野慎哉ソリューションチームマネージャー

――ファナック製協働ロボット「CRXシリーズ」の専用台車として、SUSのアルミ構造材「ZFシリーズ」が採用されました。まずは「ZFシリーズ」の開発の経緯から聞かせて下さい。
 ロボット業界でのアルミ構造材の使われ方を改めて分析すると、装置のカバーや囲いとしてしか使われていませんでした。ですが架台や台車として使われる方がボリュームがあり、需要が見込めます。そこでその用途向けに何か作れないかと考え、従来の製品とは基本的な作りやサイズから違う、より剛性(変形しにくさ)の高い「ZFシリーズ」を2015年に発売しました。

――ロボット向け以外の製品との違いはどんなところ?
 アルミフレームは一般的に、大きな力がかかると、ぶれてぐらつくことがあります。これを防ぐために、ZFではジョイント(接合)部分を差し込み式にしました。熱による伸縮を利用する焼きばめという技術を使い、ジョイントパーツの片方を熱し、もう片方を逆に冷やして各パーツをはめ込みます。アルミ素材は熱膨張係数が鉄の3倍もあり、こうすることでぐらつきを抑えています。ジョイントパーツを差し込んだ上で、最終的にはネジで固定します。しかもフレームは押し出し成型したもので、複数形材の組み合わせではありません。

ZFシリーズは昨年の国際ロボット展でも「CRXシリーズ」の架台として使われた

――専用台車を受注した経緯について教えてください。
 ファナックにはこれまでも「ZFシリーズ」を使っていただいており、昨年東京で開催された「2019国際ロボット展(iREX2019)」で発表された協働ロボット「CRXシリーズ」の展示でも架台としても使っていただきました。そこから標準架台の話になりました。ロボットが発売されれば、それを乗せる台車が必要になると考えたからです。今年2月から打ち合わせが始まりました。

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