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2020.08.21

コラム

[コラム]専門用語でも「奴隷」が廃止に?

 米国を中心に、「マスタースレーブ」という言葉を、別の言葉に言い換えようとの動きが出てきた。

 「マスタースレーブ」はIT業界などでも使われるが、ロボット業界の専門用語でもある。
 マスター機に設定したロボットの動作を、そっくりそのまま他のロボット(スレーブ機)が模倣する制御方式のことだ。手元のマスター機を手動で動かし、離れた場所にあるスレーブ機を操作する遠隔操作制御などに使われる。

 マスタースレーブは「主人・奴隷」と訳すこともできる。米国では人種差別が大きな社会問題であり、奴隷制度を連想させるマスターやスレーブのような言葉を使用しないと宣言する企業が相次ぐ。
 米国の会員制交流サイト(SNS)大手のツイッターは、「マスター・スレーブ」「ブラックリスト」などの表現を自社のプログラムや書類上で使わないことを発表。「リーダー・フォロワー」「デナイ(否定)リスト」などに言い換えるという。
 ツイッターだけでなく、米国の大手銀行JPモルガン・チェースなど複数の企業が同様の方針を示す。

 日本でも、日本ロボット学会(会長・浅田稔大阪大学特任教授)が10月に開催する学術講演会に当たり、こうした用語の言い換えの議論が起きていることを論文執筆者に対し周知する。「マスタースレーブ」などの表現は学術用語として長年定着しており、引き続き使われる可能性もあるが、将来的に差別用語としての認知が広がることも考えられる。同学会では今後、 国内外の関連学会や日本学術会議などと連携しながら、これら用語の使用に関する方針を規定し、会員に周知を図る考えだ。

(ロボットダイジェスト編集デスク 曽根勇也)




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