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2020.06.22

連載

[注目製品PickUp!vol.25]0.1mmが分かると、活用法はこんなに広がる【前編】/アサ電子工業「高精度シリンダセンサACHシリーズ」

最近、ロボットハンドのメーカーやシステムインテグレーター(SIer、エスアイアー)などから注目を集める、シリンダー用の磁気センサーがある。アサ電子工業(東京都小平市、麻健社長)の「高精度シリンダセンサACHシリーズ」だ。センサーは小型で、磁力を検知するだけの一見簡単な仕組みだが、S極用とN極用のセンサーを組み合わせると0.1mm単位でシリンダーの動きが分かる。すると、ロボットハンドなどのシリンダー機構の活用法は一気に広がる。

自動化ニーズからシリンダーの出番が増加

 電子部品メーカーのアサ電子工業は、企業規模は決して大きくないが、自社開発の独創的なセンサーや制御機器、機械部品の軸継手(カップリング)などに定評がある。
 そんな製品群の中でも近年、注目を集めるのが、「高精度シリンダセンサACHシリーズ」だ。橋本岳浩営業部長は「シリンダーは自動化機器の動力に多く使われる。自動化ニーズの高まりから、シリンダーを高度に制御する用途はこれからも増える」と考える。

 シリンダーとはエネルギーを運動に変換するアクチュエーターの一種で、モーターや空気圧などで内部のピストンを往復させて動力を生み出す。ロボット業界では、直交ロボット本体やロボットハンドの稼働部に使われる。

普通の磁気センサーは簡易な検出のみ

「高精度な繰り返し精度が一番の特徴」と橋本岳浩営業部長

 シリンダー用の磁気センサーは、シリンダーが所定の位置まで動いたかどうかを確認するために使われる。一般的なシリンダー用の磁気センサーは検知精度が高くなく、5mm以下の差異を認識するのが難しかった。
 つまり、短いストロークのシリンダーは、そもそも制御すらできない。

S極用センサーが反応する様子

 ところが、アサ電子工業のACHシリーズは0.1mmの位置ずれを検知できる。橋本部長は両製品の違いをロボットハンドで例える。「シリンダーで動くロボットハンドで、一般的な磁気センサーは、対象物を把持できたかどうかの確認に使える程度。対して、ACHシリーズを使うと、対象物をつかみながら大きさを検査、測定できるハンドを作れる」。

 ACHシリーズが高精度を保証できる理由は、磁力の検知方法にある。

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