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2018.11.19

連載

[注目製品PickUp!vol.3]ロボット初心者でも簡単操作/FUJI 「SmartWing(スマートウィング)」【前編】

電子部品を基板に装着する電子部品実装ロボットで高いシェアを占めるFUJIは、これまで培った技術を応用して2017年に5軸の多関節ロボット「SmartWing(スマートウィング)」を開発した。最大の特徴は、難しかった多関節ロボットの操作を、座標の指示など簡単な設定だけでできるようにしたことだ。

ロボット普及のボトルネックはティーチング

 白を基調とした細身のボディーが印象的なスマートウィング「SW-V1」。
 電子部品実装ロボットや金属を削る工作機械を製造するFUJIが2017年に開発した。

 最大可搬重量は2kg。重い部品は扱えないが、小さな部品を搬送したり、ねじ締めなどの作業で活躍する。

 特徴的なのは見た目だけではない。従来のロボットに比べて操作が簡単なことが、一般的な多関節ロボットとの大きな違いだ。

 近年は工場の自動化が注目され、ロボットの導入を検討する企業が増えている。しかしロボットに動作を教え込む「ティーチング」が難しく、手間もかかることが普及のボトルネックになっていた。
 これまでは専門知識を持った技術者が、ティーチングペンダントと呼ばれるコントローラーを使い、作業中にロボットが取る姿勢を一つ一つを記憶させる必要があった。

電子部品実装ロボットの操作方法を応用

アーム先端にカメラを標準装備

 操作を簡単にするため、スマートウィングでは一般的な多関節ロボットとは異なる電子部品実装ロボットの操作方法を採用。それを改良し、簡単な座標の指示だけでロボットを動かせる独自の操作方法「スマートオペレーション」を開発した。

 また、近年はビジョンセンサーを組み込んだロボットシステムが注目を浴びるが、従来ロボットとビジョンセンサーを連携させるには技術が必要だった。
 そこでビジョンセンサーをオプションでなく、アーム先端に標準装備。ロボットとビジョンセンサーの位置合わせは出荷前にしておくことで、現場での調整が不要になり、システム立ち上げまでの時間を短縮できる。

 作業内容や環境にもよるが「これまでと比べて、立ち上げ時間を約40%短縮できる」と藤田政利技術部長は自信を見せる。

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