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2021.03.02
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[特集 物流機器は新世代へvol.7]総合的な提案と顧客に合わせたカスタマイズ/村田機械

コストでなく、「村田らしさ」で勝負

社内のパーツセンターで運用する自社自動倉庫

 「どこが組んでも同じになるようなレイアウトになる、シンプルな物流システムはあまり手掛けていない」と石山常務取締役。  他の会社と同じ事をした場合、中国や韓国の競合メーカーにはコストで勝てない。そこで、自社グループでのソフトウエア開発など、他とはひと味違う「村田らしさ」を入れる。  他社では「難しい」と言われるような案件に対し、長年にわたる物流システム事業で培った知識、また、工作機械、繊維機械事業など他の事業での自動化ノウハウを集結して、総合的なシステムを提案する。さらに顧客に合わせたカスタマイズが、他社との差別化であり、同社の強みでもあるという。

「できません」では顧客の夢はかなわない

 村田機械の物流システムは、必ずしも自社のマテハン機器で全てそろえるわけではない。自社製品よりも顧客の要求に適する製品があればシステムに盛り込む。良い製品があれば提携し、無い時は自社で製造するなど、臨機応変に対応する。大事なことは、顧客にとって最適なシステムを構築することだからだ。  「最適な物を選択し、システムでどう生かすかを考える」と石山常務取締役は強調する。  産業用ロボットの制御メーカーと連携することもある。村田機械の物流で培った知識と制御機器メーカーのノウハウを合わせることで、これまでできなかった自動化の提案ができる。  今後、さまざまな業種、工程で自動化が進めば、扱いにくい物も増える。その時に「できません」では、顧客の望むものをかなえることはできない。産業用ロボット単体ではできなくても、物流現場のアイデアを盛り込むことで、今までなかった荷物の持ち方など、新しい発想が生まれることもある。

海外への展開も今後は視野に

「村田機械の技術が生かせる所を広げる」とL&A事業部長の石山敏彦常務取締役

 現在は国内の引き合いが好調で、今後も自動化への要求の高まりが予想できるため、引き続き国内での物流機器の提案に力を入れる。加えて、4~5年先を見据えて、海外での販売にも意識を向ける。  もちろん現状でも海外展開はしているが、主に日系メーカーの海外拠点を狙い引き合いを獲得してきた。今後は、米国や中国などのエリア、医薬業界などにマーケットを絞り、マテハン機器などの現地調達にも力を入れ、戦略的に展開するという。「国内だけでなく、海外でも自分たちの技術が生かせる状況を広めていきたい」と石山常務取締役は意気込む。

(ロボットダイジェスト編集部 渡部隆寛)

特設ページ:特集 物流機器は新世代へ vol.1~7 関連記事: [特集 物流機器は新世代へvol.1] かつてないほどの注目浴びる物流自動化・省人化 関連記事:[特集 物流機器は新世代へvol.2]地殻変動が起こりつつある/日本物流システム機器協会 土田剛 会長 関連記事:[特集 物流機器は新世代へvol.3]群雄割拠のAGV・搬送ロボット【前編】 関連記事:[特集 物流機器は新世代へvol.4]群雄割拠のAGV・搬送ロボット【後編】 関連記事:[特集 物流機器は新世代へvol.5]新トレンドは省スペース、パレ・デパレの新製品続々 関連記事:[特集 物流機器は新世代へvol.6]物の流れを止めないためにマテハンで重要なこと/オークラ輸送機

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