[SIerを訪ねてvol.7]少数精鋭のファブレス設計者集団【前編】/レステックス
ロボットならではの付加価値も
成形後の「バリ」や「押し湯」と呼ばれる不要な部分の除去作業もロボットが担う。
バリは、上型と下型の隙間などにできる不要な突起で、研磨して除去する。ベルトコンベヤーの上を流れてきた製品の種類や向きをビジョンセンサーで自動的に判断し、製品に合わせたバリ取りが可能だ。研磨すると粉じんが発生し、人が吸い込むと健康被害の恐れがあるが、ロボットならその心配はない。
また、高温の金属は冷える際に体積が減少するが、体積が減っても製品内部に空洞ができないように、型に余分に入れておく金属が押し湯だ。押し湯は切り離して再溶解して再利用される。人が作業する場合、製品が冷えた後に押し湯を切り離し、再溶解に回すが、ロボットならば熱いまま押し湯を切断して再溶解できる。これにより、再溶解時のエネルギーを削減できる。
その他、マーキング工程も自動化し、トレーサビリティー(追跡可能性)も確保できるようにした。
現場で鍛えてマルチタスクに
こうした案件でノウハウを積み、ロボットシステムの構築は今や事業の柱の一つとなった。
現在の悩みは、新規顧客からの案件を受けきれないこと。「小さな会社のため、既存顧客の仕事でスケジュールが埋まってしまう。新規顧客に声をかけてもらうことは多いが、既存顧客をないがしろにするわけにもいかず、悩ましい」(斉藤社長)と言う。現在も半年以上先まで予定が埋まっている。
自社だけでSIerとして一通りの工程をこなせるレステックスだが、「一つのSIerが単独で全ての工程を担う必要はない。当社はむしろ、その逆を目指している」と斉藤社長は語る。
後編ではその真意と、新たに取り組み始めた協働ロボットのパッケージ事業について話を聞く。
――後編へ続く
(ロボットダイジェスト編集デスク 曽根勇也)
関連記事:[SIerを訪ねてvol.7]少数精鋭のファブレス設計者集団【後編】/レステックス(4月25日アップ予定)