• インタビュー
2024.10.24
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生産ラインの構築を顧客との協調領域に/日立オートメーション 新井美帆社長

将棋の棋士とAIの関係性

デジタル活用のイメージ(提供)

――個人的には、デジタル技術の活用に興味があります。  デジタル技術の活用で各工程の効率や作業精度を上げられます。例えば、ライン構築の際にはシミュレーション技術を使うことで、顧客との要件定義の齟齬(そご)を減らせるでしょう。シミュレーション上で問題をしらみつぶしにすることで、現実に設備を導入した後の「現場合わせ」を相当減らせます。結果として、立ち上げまでの期間を短縮できます。また、経験者のノウハウをデジタルに取り込み、人工知能(AI)などを使うことで技能の伝承や自動化を図りたいです。 ――生成AIの登場もあり、よく話題にはなりますが、生産現場でのAI活用は進むと思いますか。  日立が本格活用を始めたら、印象や状況が変わる可能性があると思います。AI導入のハードルの一つは、判断などの信頼性でしょう。日立でも使っていると言うと、世の中の受け取り方が変わるかもしれません。そういった心象的なハードルを下げることは重要です。

――なるほど。  それと、最初から信頼しすぎないのも大事です。当初は作業を効率化したり、一部自動化するなどの支援ツールとして活用しつつ、ロボットの自律化などまで任せる範囲を少しずつ広げていくのが理想です。将来的には、人とAIの双方向の学びもあると考えています。将棋AIがまさにそうですよね。登場した頃は、棋士の目の敵にされていましたが、今ではAIの指し手を参考に自身の戦略を立てる棋士も少なくありません。そういった人とAIの化学反応が生産現場で起きるとどうなるのか。考えるとワクワクしませんか。そういった未来を皆さんと築いていきたいと思っています。

(聞き手・ロボットダイジェスト編集長 八角 秀)

新井美帆(あらい・みほ) 2002年東京女子大学現代文化学部卒業。同年日立製作所入社。20年産業・流通ビジネスユニットグローバルロボティクスSI事業推進本部事業開発部担当部長、22年1月同ユニットロボティクスSI 事業基盤強化準備室副室長。同年4月日立オートメーション設立と同時に同社取締役事業統括本部長、24年4月から現職。

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