[注目製品PickUp!vol.53]ソフトで柔軟にシステム構築/モベンシス「WMX3」
MIT発で技術志向
モベンシスの創業は1998年。日本出身の創業者が京都大学工学部を卒業したのち、95年に米国マサチューセッツ工科大学(MIT)の助教授として、次世代ロボットコントローラーの開発プロジェクトを発足。同プロジェクトを事業化して米国マサチューセッツ州ボストンでソフトサーボシステムズ(現モベンシス)を立ち上げた。
2004年には浜松市に日本法人を設立し、本社機能を日本に移した。08年にソフトベースとしてはアジア初のEtherCATマスターを開発。
13年に汎用ソフトモーションコントローラー「WMX」を開発。14年には日本法人を浜松市から現在の東京都立川市に移転。韓国法人も立ち上げた。
20年に世界初となるCC-Link IE TSNソフトマスターである「WMX3 with CC-Link IE TSN」を発売。社名を現在のモベンシスに変更し、本社機能を韓国法人に移した。
22年にこれも世界初のMECHATROLINK-4ソフトマスターである「WMX3 for MECHATROLINK-4」を発売。
「創業者がMIT出身ということもあり、技術志向で、世界初の技術も少なくない」と佐藤社長は話す。
現在の拠点は日本、韓国、米国の3つ。日本ではコアエンジンの開発や営業、技術サポート。韓国ではアプリケーション開発や営業、技術サポート。米国は先端研究開発を担う。
事業内容は、制御用ソフトの開発と販売で、ソフトだけでなくFA(ファクトリーオートメーション=工場自動化)ハード機器の開発と販売、アプリ開発も手がける。
「絶え間なき技術革新により社会の変革に貢献する」を経営理念に、ソフトベースのモーションコントロールのパイオニアとして、市場で存在感を高めている。
日本法人は年内に東京都新宿区に移転し、面積は3倍ほどに拡大。ショールームやデモルームも用意する予定だ。現在15人の社員も倍増させるという。
「創業当時、ソフトベースの考え方は時代を先取りし過ぎていた。その後、産業用PCの能力の向上に伴いソフトベースの受容が広がり、コンピューティング技術が急速に進歩、普及する現在はまさに需要が上向いているタイミング」と佐藤社長は意気込む。
グローバルな戦略として、中国での本格展開も見据え、拠点を作った。早ければ年内にも中国法人を立ち上げる予定という。