[ロボットが活躍する現場vol.6]これぞ中小企業のロボットシステム! 協働ロボットとからくり装置でコストを抑制/ユタカ精工
まるで、わがままな後輩
豊岡社長はロボットに期待しすぎてはいけないと実感する。「動作は人の何倍も遅く、重いものは持てない。わがままな後輩『ロボットくん』を見る気持ち。しかしロボットが担当する部品の受注は定期的にあり、ゆっくりでも確実にやってくれればよい」。 ロボットが担当する工作機械の稼働率は、人が担当するものよりも低い。しかし、作業員が他の機械に集中できるためトータルでの機械の停止時間は減り、工場全体の稼働率は上がった。 「自社の使用条件を精査し、仕様を合わせられれば、中小企業でもロボットは有効に活用できる。導入を後悔していない」と豊岡社長は胸を張る。 ロボットを導入したことで、より先の事業も見据えることができた。豊岡社長は次に、自社のオリジナル製品の生産に取り組みたいと考えている。 「創造的なアイデアはないし、設計部門もない。でも形にする技術と協力各社のつながりがある。アイデアを持つ人や企業と協力して、製品開発に携わりたい」と意気込む。実際に形になった製品も出始めた。 そのために、ロボットに扱わせる加工物の種類の増加を目指す。現在は1種類だが、社内で受注数が多いものはロボットに任せ、作業者は付加価値の高い仕事をできる体制が理想だ。 やはり持ち込まれた新しいアイデアを形にするには、技術を持つ作業者の知識や経験が要る。つまり、「ロボットくん」の業務の幅を広げて、人の手をどれだけ空けられるか。それが今後のユタカ精工の鍵を握る。
――終わり
(ロボットダイジェスト編集部 西塚将喜)