[ロボットが活躍する現場vol.41]効果的な自動化システムの構築法とは/象印チェンブロック
自動化を進める上で重要なこと
象印チェンブロックは、作業者がわざわざ担当する価値が薄い単純作業の自動化を目的として、2006年に不二越の6軸垂直多関節ロボット「MC20-01」を導入した。しかし、2台目の導入までおよそ12年の間が空いた。「1台目の導入と運用に関わったスタッフが退職したことで、ロボット導入に関するノウハウが失われた」と山口課長は明かす。 1台目の導入から約12年後、工場内の自動化の機運が再び高まり、山口課長が旗振り役を担った。ロボットを再び導入するにあたり、ロボットに関する知識を属人化させないことに注意を払った。 自動化に関する打ち合わせや意思決定の場には山口課長だけでなく、ロボットを導入する工程の現場担当者や、将来的にその現場の担当になるであろう従業員も同席するようにした。担当者に情報を共有できるだけでなく、より現場目線に立ったシステムの構築にもつながる。
効果的な自動化システムを組む上で必要不可欠な点として、山口課長は①ロボット導入時の具体的なイメージを持つこと②機械のオペレーターにロボットを導入するメリットを周知すること――を挙げる。 「どこにどの設備を置くか、ワークをどのように次工程に流すか、その時にオペレーターがどのように動くかなどを具体的に想像しておかないと、円滑な自動化ができない。それらを考えるのは家具のレイアウトを考えるのと似ているかもしれない」と話す。 ロボットの導入時には、ベテランのオペレーターから「自分たちの仕事をロボットに取られるのではないか」「ロボットを扱うための勉強に時間がかかるのではないか」と懐疑的な視線を向けられることが多かったという。 そこで、あくまでも人の手でするまでもない単純な作業を自動化し、オペレーターは人手が必要な高度な作業に従事してもらうことの周知を徹底し、ロボット導入に対して理解を深めてもらえるよう尽くした。 18年から5年連続でロボットを導入しており、来年もワーク搬送の自動化システムを導入予定で、自動化の手を緩めない。「これまでに導入したのはいずれも6軸垂直多関節ロボットだったが、次は直動アクチュエーターを使う。目的やワークに応じてさまざまな自動化システムを柔軟に導入し、今後も工場の自動化を進めていきたい」と意気込む。
(ロボットダイジェスト編集部 斉藤拓哉)