[国際物流総合展2024 vol.4]不慣れでも、自動搬送を簡単に/トヨタL&F、ハクオウロボティクス、リードテック、岡谷鋼機、山善ほか
屋外でも使える
機械商社の山善は、自社開発のAMRを参考出展した。自動車メーカーのスズキが開発した車体をベースにした。段差や傾斜も走行できる。 山善の産業ソリューション事業部の奥山真吾戦略企画部長は「金属加工の現場などでニーズの高い、けん引タイプのAMRにした。建屋間の搬送にも向く」と説明する。 東京機械製作所は悪路や雨でも使えるAGV「V2000」を展示した。 今年4月に発売した製品で、可搬質量が2tと重量物も運べる。FA本部長の松坂浩理事は「前回展で製造業の方から『複数のドラム缶や鋼材、鉄くずを運びたい』との声を受け開発した」と話す。
個性的なAMRも
個性的な特徴を持つAMRも多数展示された。 球体の車輪を使った3点支持のAMRを開発するTriOrb(トライオーブ、北九州市小倉北区、石田秀一最高経営責任者<CEO>)は、同社の2台のAMRを連携させる「協調搬送システム」をアピールした。同期して動かすことで、1台では運べない大型の対象物を搬送できる。 「サイズの大きい搬送ロボットは大型の対象物を運ぶのには良いが、より小さい対象物を運びたい際にオーバースペックとなる。協調搬送システムを使えば、小型の搬送ロボットで大小さまざまな対象物を柔軟に運べて効率的」と担当者は話す。 自動車部品メーカーのエクセディは、けん引のAMRを展示した。前面にキャラクターのような目を表示しており、車体の状態などで表情を変化させる。音声認識もでき、「止まれ」と指示すると自動で停止する。 担当者は「AIを搭載しているので、コミュニケーションロボットのように指示に応じる。操作に不慣れなオペレーターにも気軽に使ってもらいたい」と語る。
搬送ロボット構築に必要な機器をパッケージに
減速機大手のナブテスコは、搬送車向けの要素部品をアピールした。同社のメカナム駆動ユニット「RVWシリーズ」と、周辺機器をパッケージに仕立てた。 全方向への移動ロボットには、ローラーの表面にスクリュー状の機構を斜めに複数付けた「メカナムホイール」がよく使われる。 「RVWシリーズ」はメカナムホイールの内部に、同社の精密減速機「RV」を配置したユニット製品だ。さらに、パッケージ製品ではサーボモーターやドライバー、ソフトウエア、非接触給電システムをセットにした。これをベースにすれば、メカナム式の搬送ロボットを簡単に構築できる。 ブースでは坂井電機(三重県亀山市、坂井康秀社長)のAGF「Auto Lift(オートリフト)」や、牧野フライス製作所のAMR「iAssist(iアシスト)」など、RVWシリーズを採用した製品も実演展示した。 精機カンパニーFA営業部の松下晃久マネージャーは「テスト用の搬送ロボットを内製したい企業などに向け提案したい。メカナム駆動ユニットを活用するパートナーをさらに増やしたい」と話す。
(芳賀 崇、西塚将喜、水野敦志、斉藤安紀)