[2023国際ロボット展リポートvol. 1] 多彩なアプリケーションを提案/IAI、スター精機、スギノマシン、ベッコフオートメーション
超音波自動探傷システムを出展/スギノマシン
産業機器メーカーでありロボットメーカーでもあるスギノマシン(富山県滑川市、杉野良暁社長)はロボットを使った「超音波自動探傷システム」を出展した。
同システムは自社製の6軸仕様の多関節ロボットと横方向に移動する付加軸の計7軸で構成されており、「ヨーク」と呼ばれる機器を装着したロボットアームが検査対象物の形状に倣って動く。ヨーク先端の探傷プローブから検査対象物に水を噴射し、その水栓の中に超音波を通すことで検査対象物に超音波を伝え、内部の欠陥や傷の有無を検出する仕組みだ。
「主なターゲットは航空機関連の大型部品。多関節ロボットは自由度が高く、大型で複雑な3次元形状の部品の探傷に力を発揮する」とRI事業部長の大西武夫執行役員は語る。
国内初披露のモジュール式ロボットシステム/ベッコフオートメーション
ドイツの制御機器メーカーベッコフオートメーションの日本法人(横浜市中区、川野俊充社長)は、モジュール式のロボットシステム「ATRO(アトロ)」を国内初披露した。
ATROにはロボットの土台として機能する「ベースモジュール」、関節軸の役割を持つ「モーターモジュール」、関節軸同士をつなぐ「リンクモジュール」の3つのモジュールがあり、これらを自由自在に組み合わせることで単軸から7軸までさまざまなタイプの多関節ロボットを製作できる。
各モジュールには通信データや電源、エアなどを供給する機能が内蔵されており、ロボットの内外にケーブルや配管を通さなくてもロボットが稼働する。そのため各軸の動作範囲に制約がなく、全軸の無限回転が可能だ。ブースにはATROで構築した6軸仕様のロボットシステムを展示し、モジュールの組み立てデモや動作デモを定期的に実施した。
川野社長は「ATROのようなシステムはこれまでになく、多くの可能性を秘めている。だからこそ、お客さまと一緒に新たな用途を考えたい」と述べる。
この他、ウィンドウズベースのリアルタイム制御ソフトウエア「TwinCAT(ツインキャット)」を、ロボット開発用プラットフォーム「ROS」などのウィンドウズ以外のオープンなOS(基本ソフト)上で実行できる機能「TwinCAT/BSD Hypervisor(ハイパーバイザー)」なども紹介した。
(ロボットダイジェスト編集部 桑崎厚史)

