エプソンはさまざまなソリューションで生産現場の難題解決を共に目指すVol.4
ロボフレで「これなら普及する」と確信
プロジェクトの大きな特徴が「ロボットフレンドリー(ロボフレ)」をコンセプトにしていること。道路や交通ルールの整備が自動車の普及に必須だったように、ロボットシステムの開発側だけでなく、惣菜を製造し販売するユーザー側も一体となってロボットを使いやすい環境を整備し、業界に最適なロボットシステムを開発する。
惣菜製造の現場ごとにロボットシステムを開発するのではなく、業界内でデファクト・スタンダード(事実上の業界標準)となるシステムを開発することで、開発コストを大幅に削減できる。「従来であれば2000万円かかっていたシステムを最終的に500万円まで下げたい」と荻野フェローは言う。
エプソンはプロジェクトに参画する以前から食品産業に関心を持っていた。同時に、個別にシステムを開発すると投資回収までの期間が長くなり、爆発的な普及は難しいとも分析していた。
エプソン販売エンジニアリング営業SBUの高山一樹本部長は「社会課題の解決と協業・共創を重視するプロジェクト理念に共感するとともに、ロボフレのコンセプトを聞いた瞬間『これなら普及する』と確信した」と言う。
人による作業が前提で作られた惣菜工場はスペースに余裕がなく、惣菜は単価が高い製品ではないためコストも低減する必要がある。6軸(垂直多関節)ロボットやパラレルリンクロボットではコストやサイズが合わず、スカラ(水平多関節)ロボットが最適だった。エプソンは産業用スカラロボットの2011~2021年の数量ベース出荷実績において世界ナンバーワンのシェア(※株式会社富士経済『2012~2022ワールドワイドロボット市場の現状と将来展望』調べ)を持つため「スカラならエプソン」と同社に声がかかり、理念に共感していたエプソンも参画を決めた。