[ショールーム探訪vol.7]古い倉庫とハイテクに「ギャップ萌え」/HAI ROBOTICS JAPAN「HRJテクニカル・センター」
スマートを実現するソリューション
ACRはハイロボティクスが切り開いた製品カテゴリーだ。ロボット技術と人工知能(AI)で、効率的かつ柔軟にカスタマイズできる倉庫ソリューションを提供する。 短時間で立ち上げられ、レイアウト変更と手作業の削減で、作業効率を数倍、保管密度を2倍ほどにできる。また容易なカスタマイズ、高い費用対効果なども大きな特徴だ。 物流現場でのピッキングは反復作業で時間がかかり、煩雑な重労働だ。現在の業界トレンドの一つは、ロボットが人の所まで商品を運ぶ「Goods to Person(グッズ・ツー・パーソン、GTP)」。ハイピックはこのGTPを体現し、効率的で無駄のない「スマートピッキング」や搬送、自律ナビゲーション、障害物回避、自動充電などの機能を備える。 じろじろ見て回ったが、「スマート」との言葉はぴったりかもしれない。 ACRが自律的に動いて荷箱をラックからワークステーションに運び、荷箱を受けた人が必要な商品をピッキング。役目を終えた荷箱をACRがまたラックに戻す。 給電時にはやはり自律的に動いて自動充電エリアで粛々と充電する。自動充電のさまをまじまじと見たが、ちょっとした生き物に思えてきて、お掃除ロボットも思い出した。 それらの淀みないサイクルを、ソフトウエアが効率的に管理してくれるのだから恐れ入る。
3年で10倍が目標
ハイロボティクスは2016年創業で、現在急成長している物流向けロボットメーカーだ。ハイピックを世界で累計3000台あまり納入してきた。社員数はグローバルで1500人規模で、常に走らせているプロジェクトが300件以上ある。主力工場(中国の東莞工場)の生産能力はすでに年産1万台レベルを備え、それでも需要に追いつかないほどの受注状況という。 日本法人であるHRJは21年8月の設立で、今年3月にショールームを開設した。「これからは本格的な拡販の局面に入る」とリュウ社長は意気込む。現在の社員数は22人だが、来年には40人へほぼ倍増させる予定だ。「ハイピックを売って終わりでなく、売ってから始まる。顧客にソリューションを提案し、顧客が利益を上げるために寄り添う。HRJテクニカル・センターは、そのための拠点」(リュウ社長)。 現在の人員構成はセールス5人、設計6人、技術10人。今年はアフターサポート担当の人員強化に注力する。自社内だけでなく、協力企業も育て、「ちゃんと顧客に安心してもらえるソリューション、サービスを提供する」と力を込める。 それにしても、にわかには信じがたい成長力だ。背景にあるのは物流業界の大きな変化と、それに伴う自動化への強いニーズだろう。特に日本市場に合うシステムとの自信も大きい。 今年の受注目標は300台以上。強気と思えるが、それだけの好感触、確信が背景にはある。また、3年後には売上高を現在の10倍にまで高める目標を掲げる。日本の物流業界に商機を見いだしている証拠だろう。