• インタビュー
2022.04.28
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[特別企画 新ロボット展 in 愛知 vol.7]中小に広げる第一歩に/FA・ロボットシステムインテグレータ協会 久保田和雄会長

――RTJ2022への期待はいかがでしょう。  期待は大きいです。自動車を中心に幅広い産業がひしめく中部ですが、各産業のサプライチェーンを支えているのが中小の製造業です。そういった方に、ロボットを見て触れてほしいと考えます。 ――SIerの集まる「SIerゾーン」があります。  各SIerが工夫を凝らし、実践的で現場の用途に近いロボットシステムを展示するでしょう。SIerゾーンにこそ是非、中小製造業の経営者や現場の方が来てほしい。自身の現場で使える提案や示唆が、きっと見つかると思います。 ――中小で導入が進まない理由は何だと思いますか。  引き合いも増えており、ニーズは間違いなくあります。ただ、話を聞くと、実際に自分の現場に導入した時の使い方のイメージが希薄なケースが少なくない。われわれが最適と思う提案はします。ただ、いざ導入すると、微妙な認識の違いやすり合わせ不足で、実機での修正も起きるなど、イメージが希薄なほど、案件が進みにくいのが現状です。 ――そのために、まずはロボットを見て触れてほしい、と。  その通りです。会期2日目の7月1日には「SIer’s Day in 愛知」を開催します。SIer同士や、SIerとロボットの導入を検討する企業が交流を図るイベントです。これまでも回数を重ねてきました。しかし、展示会の会場で一般の人も参加しやすい形で開く機会は、なかなかありません。これからロボットの導入を検討するための要点や、実際の事例を通じて、従来以上に初心者にも分かりやすく紹介します。繰り返しになりますが、是非、中小の経営者に見てもらいたいと思います。 ――具体的なイメージを持つのは、簡単ではありません。  これは個社の話になるのですが、私が代表の三明機工(静岡市清水区)では、4月にロボットシステム構築のためにシミュレーションなどをできる「バーチャルロボットソリューションシステム」を外販し始めました。デジタル上の仮想現実(VR)に顧客の工場内部を再現。VRにロボットの生産ラインを立ち上げ、物理現象まで再現しながら稼働させ、シミュレーションします。実際にレーザーなどで計測した点群データを使って顧客の工場を再現するため、より具体的なイメージを持てるでしょう。 ――それならば、現物を見ているかのようにイメージが湧きます。  さらに、デジタル上でロボットシステムの仕様をすり合わせることで、SIerと顧客間の認識の相違を減らせ、実機段階での変更が生じにくくなり、実機を動かすなどの余計なコストも掛かりません。次世代通信規格(5G)など高速無線通信が普及した近い将来に、稼働後もデジタル上と現実世界の実機を連動させる「デジタルツイン」を取り入れれば、遠隔保守でトラブルに対応できる未来もあるでしょう。こういった取り組みを会員間にも広げていきたいです。

(聞き手・ロボットダイジェスト編集長 八角 秀)

久保田和雄(くぼた・かずお) 1975年3月武蔵工業大学工学部卒。三明機工社長。日本ロボット工業会副会長。2018年7月、FA・ロボットシステムインテグレータ協会が発足し、初代会長に就任。1952年、静岡県出身の69歳。

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