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2021.09.24

[SIerを訪ねてvol.20]AI×ハード技術で人手の「オキカエ」提案/ASTINA

柔軟物の扱いに強み

「アスティナなら柔軟物にも対応できる」と儀間匠社長

 特に同社が得意とするのが、柔軟物を扱う自動化システムだ。ロボットや自動化設備の業界では、柔軟物を扱うのは難易度が非常に高いとされる。しかし同社は設立当初から柔軟物を扱うロボティクス技術に取り組んできた経緯があり、同分野に技術的な強みを持つ。

 市場では業務用タオルやテーブルクロス、枕カバーなど、リネン(布)製品の工場での検品などで自動化の需要が多い。「他社にはハードルが高い分野だが、『わが社ならできる』とFA産業への参入を決めた」と儀間社長は言う。

角度を合わせてケーブルをつかみ、力覚センサーを使って端子に挿入

 リネン向けのシステムを皮切りに、リネン同様に柔軟物であるケーブルを端子に挿入するロボットシステムを開発。電気製品の検査などに適したシステムだ。
 また、柔軟物ではないがAI技術を生かせる分野として野菜などの食品を調理設備に投入するロボットシステムや、位置決めせずに箱に積まれた物をつかめるばら積みピッキングシステムなどもそろえた。

 今年4月からはロボットや周辺機器をパッケージ化し、「オキカエ」シリーズとして提案する。パッケージシステムとうたってはいるが、事前にコンサルティングし、既存の設備なども生かしながら現場に最適なシステムを構築する。
 6月には、ビジョンセンサーで工業製品や食品などの外観検査をする「OKIKAE(オキカエ) for AI外観検査」を発表するなど、ラインアップの拡充も図る。

異物の検出や手書き文字の認識ができるAI外観検査システム



 同社はオキカエを展開する「AI/ロボティクス開発」事業を、今後の成長をけん引する事業と位置付ける。オキカエの発表以来、毎日のように問い合わせや引き合いがあるなど、手応えはよいという。
 IoTデバイスとAI/ロボティクス開発の両事業ともそれぞれ売り上げの伸長を目指すが、特にAI/ロボティクス開発事業は毎年倍増を狙う。また、社員も増員し、現在の20人強から、5年後には150人体制とする計画だ。

 「今後はFAだけでなく物流現場の自動化にも進出し、その先もいろいろな展開を計画している。高度な技術が必要だが案件当たりの単価が低い中小企業向けのAI自動化システムは、他のSIerが手を出しにくい領域だが、ニーズは大きい。そのニーズに応えていきたい」と儀間社長は語る

(ロボットダイジェスト編集デスク 曽根勇也)


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