宇宙開発で培ったトルク制御技術を日本へ/センソドライブ
いつか日本の企業と
――昨年末、日本市場に本格的に進出するとの発表がありました。
私は昔から日本が好きで、若い頃に日本で講演をする機会がありました。その時に複数のメーカーを訪問し、日本の品質基準の高さや緻密な仕事ぶりに感銘を受けました。その日からずっと、いつか日本の企業と仕事をしたいと夢見ていました。これまでも日本には少量ながら製品を販売してきましたが、日本市場をさらに開拓したいと考え、次のステップを踏み出すことに決めました。
――日本のロボット業界の現況をどうみていますか。
日本には優れたロボットメーカーが数多くありますが、ロボットの需要は世界規模で拡大しており、各国のメーカーの競争力も高まっています。また、最近特に成長が著しい協働ロボットの分野では欧州勢が高いシェアを持ち、日本のロボットメーカーが遅れを取る可能性もあります。センソ・ジョイントをはじめとしたわが社のトルク制御技術は、日本のロボットメーカーが協働ロボットの分野でも高い存在感を発揮するのに貢献します。
―――日本市場開拓のプランは?
具体的なプランはこれから本格的に策定しますが、近いうちに子会社を日本に設立するか、日本のロボットメーカーなどとパートナーシップを組みたいと考えています。日本のロボットメーカーやスタートアップ(新興)企業にわが社の製品や技術を採用してもらうには、まずは認知度の向上が何よりも重要です。そのため、日本のメディアへの露出を増やすなどして、情報発信も強化したいですね。また、わが社は現状の約1000万ドルの売上高を今後2年間で倍増する目標「ミッション2021」を掲げています。目標達成のためにも、日本は鍵となる市場だと捉えています。
(聞き手・ロボットダイジェスト編集部 鷲見咲美)
Norbert Sporer(ノルベルト・スポラー)
ミュンヘン応用科学大学の電気工学部を卒業後、ミュンヘン工科大学でオートメーション技術の分野を学ぶ。1994 年にドイツ航空宇宙センター(DLR)のロボット工学・電子工学研究所で働き始め、軽量ロボット開発の責任者を務めた。2003年にSENSODRIVE設立、CEOに就任。1968年生まれの52歳。