ロボットを入れたい企業は必見! ガイドラインと専門教育で導入サポート/名古屋工業大学江龍修副学長
ロボット関連の3つの取り組み
――産学官金連携機構では、具体的にどのような取り組みを?
工場長の育成を目指す「工場長養成塾」や、先ほど申し上げた中小企業のロボット導入を支援する「なごやロボット・IoTセンター」、知的財産に関する教育をする「知財塾」、3次元CADソフトを使える設計者を育成する「3D-CAD設計技術者育成講座」などがあります。
――ロボット関連ではどのようなことをしていますか。
当機構のロボット関連の取り組みは大きく3つあります。一つ目は、16年と17年に経済産業省の中部経済産業局からの委託を受け、「産業用ロボット導入ガイドライン」を制作したこととロボットのユーザーに向けた「産業用ロボット導入支援講座」を実施したことです。二つ目は、愛知県からの委託を受け、17年と18年にユーザー向けの「産業用ロボット導入支援講座」を開いたこと。三つ目は、17年と18年、19年に名古屋市からの委託を受け「専門人材育成講座」を開催したことと、「なごやロボット・IoTセンター」を18年3月に設置したことです。当センターでは、ロボット導入に関する相談窓口の機能を果たすとともに、ロボットやモノのインターネット(IoT)の学びの場を提供しています。
SIerの負担を減らす
――産業用ロボット導入ガイドラインについて教えてください。
中小企業などがロボットを円滑に導入できるようにするための手順や検討項目を詳細に記しています。①経営者はロボット導入の目的や時期、予算などを明確にする②実務担当者はロボットシステムの構築や運用に必要な要件を検討し洗い出す③自社に必要なロボットシステムの仕様をまとめた「提案依頼書(RFP)」を実務担当者が作成し、SIerやロボットメーカーに提示する――の3つのステップをガイドラインに記しています。それぞれのステップで、具体的に何を検討すればいいかを詳述していますので、ロボット導入を考えている企業にまずはガイドラインの活用を提案しています。
――ガイドラインで何ができますか。
ガイドラインに沿って自社の製造現場を棚卸しすると「これではロボットを導入しても意味がない」「これならロボットを入れた方がいい」など、自社で学習することができます。仮にロボットを導入する場合でも、SIerとのやり取りが非常にスムーズに進みます。実は、このガイドラインはSIerの負担を減らすためのものでもあります。
――作るのは大変でしたか。
地元のSIerが中心となってガイドラインを作りましたが、かなり苦労しました。ですが非常に嬉しいことに、このガイドラインは「名古屋モデル」と呼ばれ、全国に水平展開されています。