[注目製品PickUp!Vol.10]欲しい所に手が届く、片手で運べる協働ロボ【前編】/デンソーウェーブ「COBOTTA(コボッタ)」
展示会では注目の的に
コボッタ9台が連携する3色ボールペンミニ工場(デンソーウェーブ提供)
台の上に置かれたコボッタ9台が連携し、3色ボールペンの搬送、組み立て、検査、刻印、ラベル貼り、整列、受け渡しまでを自動化する「3色ボールペンミニ工場」。
さまざまな業種、作業で使用されることが想定されるコボッタだが、具体的な使い方をイメージしてもらうため、デンソーウェーブがPRに選んだのがこのミニ工場だった。展示会では来場者が注文したオリジナルの3色ボールペンをノベルティーとしてプレゼントした。コボッタの外観のおしゃれさと相まって、多くの来場者が興味を示した。
「見た人が『自社でも活用できるところがあるかもしれない』と思えるようなヒントを提示したい」とFA・ロボット事業部の澤田洋祐製品企画室長は話す。
コボッタは15年の国際ロボット展で初披露され、17年の国際ロボット展から受注を開始した。
100Vの電源で動くため、工場だけでなく学校や研究施設などでも使用が可能だ。欧州では、日本に比べて学校などから引き合いが多いという。
工場だけでなく研究施設など使用できる領域が広がったことで、産業用ロボットの従来の顧客以外にも、興味を示す企業が増えた。そこで18年にはオリックス・レンテック(東京都品川区、小原真一社長)と提携し、レンタルサービスを開始。購入前に試しに使ってみたいというユーザーの声に応える。
机に置いて、電源を入れたら動く
コボッタ開発のきっかけの一つに、パソコンで操作する教育用ロボットがある。コボッタよりも小さく、ラジコンのモーターで動くロボットだが、同社の開発したロボット向けプログラムが全て使用できるため、ユーザーの学習用として活躍した。
この製品を提供するうちに、産業用でも小型で持ち運べるロボットへのニーズがあると分かり、作業者が持てるサイズのコボッタを開発した。
持ち運びやすさを追求するため、これまでは外付けしていたロボットコントローラーを内蔵。配線やコントローラーの接続を省いて簡単に設置できるようにした。
学校や研究施設では、架台を設置して安全柵で囲む従来の産業用ロボットの設置スペースの確保が難しい。そのため「机に置いたら自立し、電源を入れたらすぐに動く製品を作りたかった」と澤田室長はアピールする。
前編では、サイズや重量など数値で表しやすい基本スペックについて紹介した。しかし、コボッタはスペック表には載っていない機能にも優れた特徴がある。
「どこでも使えるためには、これまでのロボット以上にできることを増やさなければ」と澤田室長は強調する。後編では数値では測れないコボッタの機能に焦点を当てる。
――つづく
(ロボットダイジェスト編集部 渡部隆寛)
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(3月27日アップ予定)