2023.04.19
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事業引き継ぎ新たなスタート、工場・物流センターの自動化や商品パッケージ化に商機/新エフエイコム 大矢英貴 社長

引き合い増える工場内物流

「工場物流の自動化案件が増えている」と話す大矢社長

――注力する分野は?  一つが、物流の自動化です。新エフエイコムは、ITシステムの一種である倉庫管理システム(WMS)を構築できます。これまでは顧客ごとにかなりカスタマイズしたシステムを開発するケースが多かったのですが、より導入しやすいようパッケージ化を図りたいと考えています。また、無人搬送車(AGV)や自律移動型搬送ロボット(AMR)、産業用ロボットなどを活用した物流自動化システムも構築できますから、デジタルからフィジカルまで含めた総合的な自動化が可能です。 ――物流分野の自動化は、近年注目を集めていますね。  物流の省人化は投資が非常に活発です。拠点内での物流、つまり工場や物流センター内での物の保管や仕分け、搬送などを担う自動化システムが注目を集めています。物流センターへの自動化システムの導入はここ数年盛んでしたが、直近では工場内の物流自動化の引き合いも増えています。 ――部品加工などの「直接付加価値を生み出す工程」は投資の優先度が高そうですが、部品や製品の搬送などの「直接は付加価値を生み出さない工程」への投資も増えているのですね。  その通り。むしろ現在は「そういった工程でいかに省人化を図るか」が、新工場の建設をする際などの非常に大きなテーマになっています。2022年は工場内物流の刷新を検討する企業からの引き合いが多かったのですが、今年に入り、その中の数多くの案件がいよいよ動き出しました。工場内物流の自動化ニーズは高まる一方です。 ――その他に注力していくことはありますか?  ロボットシステムのパッケージ化を進めたいと考えています。ロボットシステムは顧客の現場に合わせて一から設計・開発するケースも多いですが、設計・開発のコストがかかり納期も長くなります。用途ごとにパッケージ化したシステムをラインアップし、稼働までの工数を減らすことは、導入する顧客企業にもメリットがあります。

昨年12月に京都で開催された「けいはんなロボット技術フォーラム」でも新会社発足をアピール

――課題はありますか?  人材の育成が新エフエイコムにとっての一つの課題です。新エフエイコムは技術者などの人材もオフィスエフエイ・コムから引き継いでいます。オフィスエフエイ・コムは高度な案件をいくつも引き受け、ベテランや中堅の技術力は高いのですが、この十数年間に急成長した企業であり、まだまだ十分な経験を積めていない若手の技術者も非常に多い。これら若手をいかに育て上げるかが大きな課題です。例えば若い設計者にロボットシステムの据え付けや調整なども経験させ、現場が分かる技術者に育てる。人材育成は経営の数字上ですぐに効果は出ませんが、数年すれば大きな成果が出てくると期待しています。 ――今後の展望をお聞かせください。  新エフエイコムの滑り出しは順調です。民事再生によるキャンセルは少なく、民事再生の申請以降とまっていた案件が一気に動き出すなど、想定以上に良いスタートを切ることができました。これからは、新規案件を獲得するための新たな種まきも積極的に進めていきます。われわれは5年後に、現在の2倍以上の売上高を目指しています。今回お話したパッケージ化や人材育成などの成果が出てくれば、この目標は十分達成できると考えています。

(聞き手・構成 ロボットダイジェスト編集デスク 曽根勇也)

大矢英貴(おおや・ひでき) 1986年南山大学経営学部卒、岡谷鋼機入社。浜松支店長や岡谷鋼機九州社長、岡谷鋼機取締役大阪店長、取締役メカトロ本部長を経て2022年10月より現職。岡谷鋼機とNaITOの取締役を兼務。愛知県出身、1963年11月生まれの59歳。

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