[沖縄ウィークvol.3]ロボットで従業員を重労働から解放/那覇王冠
労働環境を改善し品質も安定
割り切りも大事
ロボットシステムの導入は沖縄県では珍しく、県内の企業が同社の工場を見学する機会も増えた。 「工場見学に来た企業は『自社にロボットを入れたらどうなるのか』と非常に関心が高かった。沖縄もこれから少しずつロボット導入が増えていくだろう」と玉城社長は期待を寄せる。 では、沖縄県の企業がロボットを導入するうえで、どういう点に注意すればいいのか? ロボット導入の“先輩”である玉城社長に率直な質問をぶつけたところ、「割り切るところは割り切る。ある程度の妥協は大事」と返す。「沖縄は市場が小さいので、24時間稼働で大量生産をする工場はほとんどない。それに合った形でロボットシステムを運用する必要がある」と語る。つまり、多額のコストをかけて生産性の高い全自動生産システムを構築しても、持て余すリスクが高い。同社のようにシンプルなシステムで従業員の負荷が大きかった工程だけを置き換えるのが一つの使い方と言えそうだ。 また「SIerと一緒になって本当にいいシステムを作りたいとの思いが必要で、ロボットのことをよく知らないからといってSIerに任せきりでもいけない」とも語る。
ロボットシステムを構築したカサイエレックの立花大資沖縄事業所長も「妥協点をしっかりと考える顧客でなければ、SIerも仕事ができない。決められた予算の中で最適なシステムを作るには、お互いに意思疎通を図ることが何よりも大事。顧客と深くコミュニケーションを取るには地理的な距離の近さも重要で、他県のSIerが沖縄でビジネスをするのが難しい理由の一つでもある」と説明する。 那覇王冠は今後、機械商社としてロボットを取り扱うことも視野に入れる。そのために、ティーチング(ロボットに動作を覚えさせること)ができる人材の育成にも取り組む。 さらに、将来は別の工程にもロボットを導入しようと計画する。玉城社長は「私も最初はロボットの知識が全くなく、何ができるか分からなかった。だが、実際に導入をしたことで『こういうこともできるのではないか』とロボットの新しい活用方法を探るのが楽しみになった。自分たちもまだまだこれから」と先を見据える。
(ロボットダイジェスト編集部 桑崎厚史)