コンパクトさに驚愕、工作機械展に見る専用パッケージ提案【後編】
自社製品での「一貫生産ライン」提案
スギノマシン(富山県魚津市、杉野太加良社長)は、加工から洗浄までの一連の工程を全て自社製品でまかなう「一貫生産ライン」を披露した。 加工機や洗浄機などの幅広い事業を展開するスギノマシンならではの提案だ。並べた加工機や洗浄機の間に、独自構造の「スイングアーム式コラムロボット」を組み込む。このロボットも自社で開発した。 このロボットはさまざまな使い方が可能だが、生産ラインに組み込み場合は「ロボットモジュール」仕様が便利だ。横幅50cm×奥行き50cm×高さ230cmのフレームにロボットを組み込んだもので、加工機と洗浄機の間に置けば簡単に自動化システムを構築できる。 JIMTOF会場では①加工機で材料を加工②加工後の材料をロボットが搬送③その材料を洗浄機で洗う――の一連の流れを実演した。さらに、モノのインターネット(IoT)技術も駆使し、それぞれの設備に稼働状況も可視化したモニターに表示した。 杉野良暁取締役は「来場者の自動化のニーズは非常に大きく、一貫生産ラインへの反響は大きかった」と強調する。
板金加工も自動化、ボックスを動かして取り付けるだけ
前編・後編を通してこれまで紹介してきたのは、切削加工機向けの自動化システムだ。金属の塊から不要な部分を削り取って、目的の形状を作り出すことを切削加工と言う。 JIMTOFでは切削加工機の展示が多いが、金属の板を切断したり曲げたりする“板金加工機”の展示でもパッケージシステムで自動化する提案があった。 スイスの板金加工機メーカー、バイストロニックの日本法人バイストロニックジャパン(東京都武蔵村山市、江頭一郎社長)のブースでは、板材の曲げ加工用自動化システム「モバイル・ベンディング・セル」の稼働実演が大きな注目を集めた。 このシステムの大きな特徴は、可動式であること。ロボットや加工材料が収まったボックスを機械の前に移動させ、取り付けるとすぐに自動化システムとして稼働できる。 わずか数分で自動化システムが立ち上がる様子に、来場者はくぎ付けだった。
驚くほど省スペース
前編・後編で取り上げた多くのパッケージシステムに共通するのは、従来と比べて大幅に省スペースになったこと。ひと昔前まで工作機械用のロボットシステムと言えば、周囲を安全カバーで広く囲むため、大きなスペースが必要だった。 しかし今回展で発表されたパッケージシステムの多くは、ロボットの周りの無駄な空間が少なく、非常に省スペース。ロボット自体が特殊な構造のもの、ストッカーなどの配置に工夫したもの、周囲との接触を避けながら自動で最適な経路で動く機能を備えるもの。アプローチはそれぞれだが、従来のロボットシステムしか知らない人が見たら、所要床面積のあまりの違いに驚くことは間違いない。 「ロボットを導入したいけど工場内にスペースがない」と自動化を諦めていた企業には朗報と言えそうだ。