電源さえあればどこでもロボット、5G環境のスマート工場
低付加価値労働こそターゲットに
実験は、58×43mの工場内外のさまざまな場所で行われた。 工場内には、金属切削やプレスなど、多くの工作機械が稼働している。5Gの電磁波が稼働中の機械に影響を与えないか? 逆に、工作機械が5G通信に影響がないかも調査した。 5Gの電波は一般的に、現状の第4世代移動通信規格(4G)の電波に比べ遠くまで届かないといわれる。ショッピングセンターや展示会場などと比較して、工場建屋は壁や屋根、柱が金属製のためか、通常よりも電波が届きやすかったという。実際に、工場建屋の外でも電波がつながった。 少子高齢化で労働者人口が減少する中、日本は世界で初めて「人口減少」と「長寿命化」を同時に迎える。実験を統括した西田准教授は「高付加価値の労働に労働力を集中させるために低付加価値の労働こそ自動化すべき」と語る。 大手メーカーは資本力をバックにロボットの導入を積極的に進めるが「むしろ中小企業の労働現場でこそ、簡単で低コストのロボットシステムを導入してほしい」と語る。多品種変量の生産ラインや、製品や農産品の箱詰めや料理の弁当詰めだけでなく、リサイクル工場や医療廃棄物、ゴミなどの分別や仕分け、食肉や魚介類、農産物の選別や人の補助など、パートやアルバイトも集まりにくく、今や外国人労働者や実習生などが担う「低付加価値労働だが社会を構成する大切な現場や作業領域こそ、ロボット導入のターゲットにしたい」と語る。 そのためにはレンタル企業などと連携し、ロボットパッケージのレンタル事業も視野に入れるという。