ロボットは危ないものだと認識していますか?/日本認証
セーフティー2.0の普及目指す
「日本では欧州などに比べ、安全の優先度が低い」と佐川社長は言う。「欧州では『機械は壊れるもの。人は間違えるもの』という認識のもと、安全確保に取り組む。しかし日本では、人を教育することで安全性を高めようとしがち。最近ようやく日本でも国際安全規格に基づく安全が普及しつつあるが、まだまだだ」と話す。 近年、労働環境の安全性に関して「Safety(セーフティー)2.0」という概念が広がりつつあるという。同社はSA資格などの認証事業を通じて、その考え方をけん引する。 セーフティー0.0は「人の注意力に頼るのみで対策されていない状態」を指し、セーフティー1.0は「柵などで人と機械が隔離された状態」を指す。それに対し、セーフティー2.0は「人と機械の協調安全環境が構築された状態」を指す。センサーで人と機械それぞれの位置情報を把握して危険が生じないようにするなど、十分なリスク低減をした上で協調して働ける環境だ。 同社では、セーフティー2.0に適合した製品やシステムに「セーフティー2.0適合証明書」や「セーフティー2.0適合マーク」を発行し、セーフティー2.0の普及を図る。
社会に認められる資格に
同社はもともと、NECAの複数の会員企業により設立され、海外などで認証を取得するための申請代行を事業としてスタートした。そこにSA資格などの資格制度の運用と、セミナーなどを通じた安全教育の事業が加わり、今は3事業を柱とする。 「最近の安全教育のセミナーでは、新規の聴講者が増えてきた。安全への意識が高まってきたと実感している」と佐川社長。 経済産業省と日本ロボット工業会が策定したSIerのスキル標準にも、「安全対応」の最高レベルとして「作業従事者の過半数以上にセーフティリードアセッサ資格相当の知識や能力」を求める一文が明記された。 「SAは資格なので、社会的に価値が認められるものでなければならない。今後より一層、資格としての認知度や地位を向上させたい」と語る。
(ロボットダイジェスト編集部 松川裕希)