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2024.01.16

イベント

[2023国際ロボット展リポートvol.17]物流向けロボットシステムに脚光/XYZロボティクス、ユーシン精機、芝浦機械、THK

「2024年問題」が昨今大きな話題になっている。今春からトラックドライバーの時間外労働時間が制限され、物流業界で深刻な人手不足になると危惧されている。トラックドライバーは荷物の積み降ろしなどの荷役作業の待機時間が多い。その作業を効率化する提案が国際ロボット展の会場でも相次いだ。コンテナからの荷降ろしをするデバンニングロボットや、パレット(荷役台)に荷物を積み込むパレタイズや荷降ろしをするデパレタイズのシステムなどが注目を集めた。

2本のアームで高速デバンニング/XYZロボティクス

 今回展で大きな注目を浴びたロボットシステムの一つが、コンテナからの荷降ろしをするデバンニングロボットだろう。
 vol.9で取り上げたMujin(ムジン、東京都江東区、滝野一征最高経営責任者)や、vol.14で取り上げた川崎重工業もデバンニングロボットを展示したが、それだけでなく中国の上海に本社を置くXYZ Robotics(XYZロボティクス)の日本法人(東京都港区、蘇詠善社長)もバンニング・デバンニングシステム「RockyDual(ロッキーデュアル)」を展示した。移動式ベースの上にロボットアームを搭載し、伸縮式のコンベヤーを付けたシステムだ。

 特徴は、ロボットアームを2本搭載すること。荷台に乗り込んで左右のアームで次々に作業し、荷降ろしで1時間当たり最大1200ケース、積み込みで800ケースの作業速度を実現する。傾斜は10度まで対応できる。
 XYZロボティクスは、米国カーネギーメロン大学でロボット工学を学んだ中国出身の周佳驥最高経営責任者や、米国マサチューセッツ工科大学でロボット工学を学んだ台湾出身の兪冠廷最高技術責任者などが2018年に米国ボストンで創業したベンチャー企業。その後中国に本拠地を移し、中国や米国、ドイツ、韓国などで納入実績がある。日本法人は昨年の3月から本格的な営業を開始した。

 「ソフトウエアのアルゴリズムやビジョンセンサーなどさまざまなコア技術を自社開発しており、パレタイズ/デパレタイズシステムも提供できる。日本法人は設立されて間もないが、今年1月にはユーザーとともに実証試験を開始予定。日本でも実績を積み上げていきたい」と小池太営業部長は話す。

高速パレタイズしかもコンパクト/ユーシン精機

垂直多関節ロボットでパレタイズするよりも設置面積をコンパクトにできる

 ユーシン精機は射出成形機の取り出しロボットのトップメーカーだが、国際ロボット展には最近引き合いが多く寄せられるパレタイジングロボット「PA」シリーズを展示した。

 パレタイジングロボット営業部責任者の辻直樹執行役員は「重量物を持ち運ぶ作業は、人には負担が大きく、会社にも労災などのリスクがある。いよいよロボット化が本格的に求められるようになった」と話す。
 「設置工事を含めると24年5月までスケジュールは一杯」と販売も好調だ。

 PSシリーズは直交する3軸からなるロボットで、取り出しロボットの技術を生かしてパレタイジング用途に作り込んだ製品。会場では50kg可搬の「PA-50LC」を出展し、1分間あたり10ケースの高速搬送を披露した。
 高さ3mに収まるコンパクトさも魅力で「高さ3m以内で2mまで積み上げたいとのニーズもある。PAシリーズならそれが可能」と話す。長手方向の走行軸を最大7mまで伸ばせる拡張性もパネル展示でPRした。

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