2022.02.14
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社会インフラと位置付けられる存在に/日本物流システム機器協会 下代博会長 インタビュー

ロボットは自動化のパートナー

「マテハン機器は年々進化している」と話す下代博会長

――先ほどロボットによるピッキングの話がありましたが、ロボットと物流システム機器の領域が年々近づいているように感じます。  製造する製品は違いますが、ロボット業界は製造や物流の自動化ラインを一緒に作り上げるパートナーです。AGVの上にロボットを載せたシステムなども開発されており、確かに垣根があまりなくなってきましたね。それは、3月9日~12日に開かれる「2022国際ロボット展(iREX2022)」でも感じていただけると思います。 ――国際ロボット展で? それはなぜ?  国際ロボット展の併催企画として、われわれ主催の「マテハン・ロボットゾーン」が会場内に設置され、会員の一部ではありますが、12社がブースを出展します。形式上は併催企画となっていますが、来場者から見れば国際ロボット展と一体になった企画です。ロボットシステムを構築する時、ロボットの周辺にはなんらかのマテハン機器がありますから、併設する意義は大いにあります。 ――展示会といえば、9月には国際物流総合展も開催されます。  主催7団体の一つとしてわれわれも参画しています。前回展は愛知県での開催だったため、東京で同展を開くのは4年ぶりです。最新機種を久しぶりにご覧になる方は、その進化に驚かれるのではないでしょうか。 ――今後の物流システム機器業界の展望は?  中長期的に、まだまだ伸びていく業界です。労働人口の減少や物流の小口化を背景に、日本だけでなく、米国や中国、韓国など、世界規模で市場拡大が続いていくと思われます。ネット通販の拡大などで物流センターでの需要拡大が目立ちますが、物流システム機器は製造現場での部品や製品の搬送にも使われます。製造現場も人手不足ですから、最近は製造現場のマテハンについても積極的に自動化投資をする動きが出てきました。海外への生産移転の流れもあって国内工場のマテハン投資は少し停滞していた感もありましたが、このところはマテハンも含めて国内工場の生産性を一段高いレベルに進化させようという企業が増えています。 ――業界としての課題はありますか?  課題の一つは、人材の確保です。人手不足などにより物流システム機器の需要は右肩上がりですが、対応するわれわれの業界も人手不足です。しかし最近、企業の規模や知名度だけで判断するのではなく「サステナブルな社会の実現に貢献できる産業で働きたい」という若者が増え、そういった若者がこの業界を選んでくれるケースが少しずつ増えていると聞きます。われわれは、以前は産業界の裏方でしたが、人手不足という社会問題の解決に寄与する産業としての認知が少しずつ広がっています。これはありがたいことで、より多くの学生や若い人たちに「将来が明るい業界」だと理解してもらい、就職先として選んでもらえるよう積極的に情報発信していければと思います。

(聞き手・ロボットダイジェスト編集デスク 曽根勇也)

下代 博(げしろ・ひろし) 1983年同志社大学経済学部卒、大福機工(現ダイフク)入社。12年執行役員、15年取締役常務執行役員、18年代表取締役社長 社長執行役員。21年5月に日本物流システム機器協会会長に就任。大阪府出身。63 歳。

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