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2024.04.19

連載

[SI基礎講座vol.8] 生産技術概論⑥

停止ロス、性能ロス、不良ロスを減らす

設備総合効率とは(SI基礎講座、スライド資料より)

 続いて設備総合効率について説明します。これは「時間稼働率」と「性能稼働率」と「良品率」をかけ合わせたものです。
 時間稼働率の段階のロスである「停止ロス」は、設備の故障や段取り替え、メンテナンス、稼働前の設備の立ち上げなどで停止する時間です。設備の使用開始前の立ち上げに1時間かかるなら、事前に自動で立ち上がるようにするなど、短縮方法はいろいろあるでしょう。

 性能稼働率の中での性能ロスは、チョコ停や速度低下などで性能的にロスが出てしまった部分です。
 良品率のところの不良ロスは、不良の発生により手直しが発生するなど、不良に起因するロスです。
 設備総合効率を高めるには、停止ロス、性能ロス、不良ロスのそれぞれをいかに減らすかを考えなければいけません。日々改善することが重要です。

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 さて、これまで生産技術の基本を学んできましたが、もし皆さんがシステムインテグレーター(SIer、エスアイアー)で、例えばメガネレンズの加工をするA社から加工工程の自動化検討を依頼されたら、どうしますか。 
 A社では営業は社長自ら行っており、社内には技術部と製造部しかありません。過去に自動化設備を導入した際は、社長と製造部の古参社員の2人で相談しながら導入しましたが、うまく稼働していません。製造部では昔からの作業者が作れる製造量を目安に製造予定を組んでおり、標準時間の考え方はなく、作業手順書もないのが現状です。そういった状況を打開すべく加工工程を自動化したいと社長から強い要望がありました。
 A社へのアプローチとして、まずは何から進めればいいと考えますか? これまで学んできたことを基に、各自で考えてみましょう。

――次回は「生産技術概論⑦」です
(構成・ロボットダイジェスト編集デスク 曽根勇也)

※この記事は2023年9月12日~14日に日本ロボットシステムインテグレータ協会が主催した「ロボットSI基礎講座」を誌上講座として収録したものです。「ロボットSI基礎講座」の詳細情報の確認や申し込みは、同協会の公式ウェブサイト内「ロボットSI基礎講座」のページから。


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