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2022.06.08
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[ショールーム探訪 vol.6]アーク溶接だけじゃない!【後編】/ダイヘン「六甲事業所」

1秒間に100回以上

 5台協調フレキシブル溶接システムの場所から少し奥に進んだ場所に、アーク溶接のロボットシステムを複数展示する。その中でも特徴的なのが「極低スパッタ溶接システム」だ。  スパッタとは、熱せられた金属の粒を指す。製品に付着すると剥がすのが難しく、付着したまま塗装するとさびの原因となる。溶接の実演では前半は従来のシステムで溶接し、後半は極低スパッタ溶接システムで溶接する。ロボットシステムの前にスパッタを防ぐガードを設置しているが、従来のシステムで溶接するとそのガードよりも高い位置までスパッタを散らす。一方、極低スパッタ溶接システムはスパッタの飛散が大幅に抑えられていた。FAロボット事業部の柳川剛三企画課長は「同システムは溶接箇所の状況を監視し、火花が飛び散る寸前で溶接ワイヤをタイミングよく出し入れして飛散を抑える。ワイヤは1秒間に100回以上出し入れする」と話す。

総合ロボットメーカーに

「ロボット以外に自立搬送車(AMR)や無線給電システムも扱い、工場全体の自動化に貢献する」と広田周吾技術部長は話す

 FAロボット事業部の広田周吾技術部長は「わが社はアーク溶接だけでなく、総合ロボットメーカーを目指している。六甲事業所は、アーク溶接以外にも多様なロボットシステムをアピールする場」と話す。  六甲ハンドリングデモルームがあるロボット生産工場は、ロボットがロボットを製造するのが大きな特徴だ。組み立てや検査などの作業で同社製のロボットが活躍しており、実績も十分だ。柳川課長は「今後もデモシステムの増設計画があり、レーザー溶接のデモとテスト加工ができる場をロボット生産工場内に開設する予定だ」と今後もさらなるPR活動に注力する。

[取材記者から] 「ダイヘンと言えば溶接」とのイメージが強いが、2022年5月現在で25種類もの産業用ロボットを扱っており、総合ロボットメーカーを目指す意気込みを強く感じた。いずれ同社のロボットが活躍するロボット生産工場も紹介できればと思う。

(ロボットダイジェスト編集部 斉藤拓哉)

施設概要 名称:ダイヘン六甲事業所 所在地:神戸市東灘区向洋町西4-1 予約連絡先:078-277-3475または問い合わせページから 関連記事:[ショールーム探訪vol.6]アーク溶接だけじゃない!【前編】/ダイヘン「六甲事業所」 [ショールーム探訪vol.5]関西最大規模の総合ショールーム【前編】/HCI「ロボット・AIラボ、ロボットセンター、ロボハウス」 関連記事:[ショールーム探訪vol.4]弱点を打破した、始まりの場所【前編】/オフィスエフエイ・コム「スマートファクトリー・コンダクター・ラボ(スマラボ)小山」 関連記事:[ショールーム探訪vol.3]秘密じゃないけど秘密基地【前編】/ABB「アプリケーション・センター東日本」 関連記事:[ショールーム探訪vol.2]幅広いメーカーの協働ロボット、AGVが一堂に【前編】/オリックス・レンテック「Tokyo Robot Lab.」 関連記事:[ショールーム探訪vol.1]実際の倉庫環境で検証可能/プラスオートメーション「cube」

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