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2022.05.11
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[ロボットが活躍する現場vol.19]自社で立ち上げた、樹脂部品に価値を付加するロボット/hakkai

いち早く自動化取り組む

工場内の射出成形機には、必ず取り出し用ロボットが付属する

 生産現場の自動化を進めており、30年前から射出成形機に取り出し用ロボットを付属させた。  樹脂成形で金属部品などを組み込むインサート成形にもロボットを使う。インサート成形では、金型が開いた際に部品を挿入する例が多い。  「手掛ける部品(ワーク)が小さいこともあり、人手作業では安定した精度が出せない。連続作業はロボットの方が正確」(関社長)。

今年1月に立ち上げた、インサート成形用のロボットシステム

 今年1月には、インサート成形用のロボットシステムを、自社で構想設計して協力企業と作り上げた。  直径10mmほどのワイヤレスイヤホンの部品を2回の成形で製造する。1度目の成形で製造した部品を2度目の成形用の金型に組み込み、再度成形することで複雑な構造の部品を製造する。その2回ともにインサート部品を組み込む高度な成形だ。  射出成形機との連携やインサート部品を組み込むタイミングなど、取り出し用ロボットでインサート成形に取り組んできた、長年のノウハウを詰め込んだ。

金型を1度開け、樹脂部品にパーツを挿入する瞬間

 金型を交換しながら1台の成形機で2度の成形をするシステムで、立形の射出成形機や、1度目の金型と2度目の金型を回転して入れ替える交換装置、インサート部品の組み込みやワークの取り出しを担う水平多関節ロボットを一体にした。  また、量産加工で手痛いミスが、不良品を作り続けること。そこで、外観検査用のカメラシステムも搭載した。外観検査で異常があった際には即座に止まる。  関社長は「自社での立ち上げは大変苦労したが、止まった時のメンテナンスなども考えると、可能な限り社内の人間が操作できる形が理想だった」と狙いを話す。

AI画像検査も自社開発

開発中のAI画像検査システム

 また現在、人工知能(AI)を使った画像検査用のカメラシステムを開発している。  AIを搭載しなくても従来から、カメラシステムがあれば、特定のワークは検査できた。AIを搭載することで種類を限定せずに幅広いワークの検査に応用できる。  社内で運用が成功した後には、外部販売も視野に入れている。  関社長は「金型製作や部品加工は受注主体の事業だからこそ、自ら変わっていかないとやがて時代遅れになる。だからこそ、早くからロボットを導入してきた。さらに自社でロボットシステムを開発したノウハウを生かし、将来は自動機開発を事業として本格化させたい」と強調する。

(ロボットダイジェスト編集部 西塚将喜)

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