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2022.05.11

連載

[ロボットが活躍する現場vol.19]自社で立ち上げた、樹脂部品に価値を付加するロボット/hakkai

hakkai(ハッカイ、新潟県南魚沼市、関聡彦社長)は、樹脂部品の一貫生産を得意にする中小企業だ。特に10mm以下の微細で精密な樹脂部品の量産加工に強みを持つ。樹脂成形の生産現場には古くから産業用ロボットを導入してきたが、今年1月には自社開発のロボットシステムを稼働させた。関社長は「自動化は樹脂部品にパーツを付加し、価値も付加する一手」と胸を張る。

1つでも欠けたらダメ

10mm以下の微細・精密な樹脂部品が得意

 ハッカイの従業員数は約180人で、売上高は約22億円を誇る。取引先は電気電子、時計、自動車業界が中心で、国内では毎月400種類5000万個の部品を生産する。

 樹脂部品は、金属で製作した型枠「金型」に射出成形機と呼ばれる機械で圧力をかけながら樹脂を流し込み、硬化させて成形する。
 同社は金型製作から成形加工、検査までの一貫生産を強みにする。特に10mm以下の微細精密な樹脂部品の量産を得意にする。

「一貫生産のうち、1つでも欠けてもダメ」と関聡彦社長

 微細な樹脂部品を安定して量産するためには、金型の設計から製造、射出成形時の加工条件、生産管理など全ての工程で高い作業水準とノウハウが求められる。
 例えば、金型の加工精度が1μm単位になるのは珍しくない。

 関社長は「一貫生産のうち、1つでも欠けてはダメ。各工程がそれぞれに高いレベル挑戦しながら、さらに社内の連携を取れないと実現できない。そして挑戦と連携が、また新しい価値を生む」と話す。

量産で付加価値を

電気電子分野を中心に、同社の部品が使われた製品が並ぶ

 樹脂の成形加工で付加価値を生むために、できる限り高い品質の金型を作る。そして、高い付加価値の成形加工があるからこそ、金型加工ではある程度までコストを費やしても質の向上に取り組める。そういった好循環が起きた。

 さらに成形加工の付加価値を上げるために、量産現場では「仕組み作り」と「省人化、自動化」を進める。
 成形加工の生産技術や品質管理の仕組みを整えている。特に品質管理の仕組みが整っていると、対外的にも訴求しやすく、量産加工に大切な顧客の信頼を得られる。また、仕組みを確立すると、他の工場拠点にも展開できる。

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