[2023国際ロボット展リポートvol.17]物流向けロボットシステムに脚光/XYZロボティクス、ユーシン精機、芝浦機械、THK
デパレから箱の開梱まで一体で/芝浦機械
芝浦機械は工場内物流向けのシステム「ロジロボ」シリーズをアピールした。
ロジロボは、工場内での段ボール箱の搬送作業や開梱作業などを自動化するシステム群の総称。スカラロボットをベースに開梱作業の工程別のアプリケーションを構築した。それらをユーザーの要望に合わせて組み替え、一体のシステムにする。
会場では、デパレタイズから、箱上部の粘着テープを切り、段ボール天面のふた(フラップ)を切り取って開梱するまでの一連の作業を披露した。3つのロボットシステムとローラーコンベヤーなどを組み合わせた。
まず、デパレタイズでは、昇降台に乗せたスカラロボットが段ボール箱を取り上げてローラーコンベヤーまで搬送する。
次にスカラロボットで、上部の粘着テープに切り込みを入れる。最後に、両開きでふたの役割を果たす箱のフラップ部分を1枚1枚持ち上げながら、合計4枚全てを切り落とす。
担当者は「重量物を運んだり箱を開ける作業は危険性や負荷が大きな問題。ただ、箱はさまざまなサイズがあり、これまではサイズが変わるたびにプログラム変更などの対応が必要で、自動化の難易度は高かった。ロジロボシリーズなら、わずかな手間で幅広いサイズに対応できる」と訴求した。
個性的なロボットが、ニーズを受けて実用へ/THK
THKは、アームを上下させる柱状の直線軸を持つ円筒座標型ロボット「MLSシリーズ」を物流向けに提案する。今回展では最大100kg可搬のタイプを初公開した。
同社のロボット走行軸「MRT」の上に100kg可搬タイプを置き、可動範囲を広げた。パレット2つを横並びにした状態で、パレタイズやデパレタイズできる。
星野京延常務執行役員は「MLSシリーズを展開する中で、パレットに2m近くの高さまで積んだ段ボール箱を上げ下げしたいとの要望があった。垂直多関節ロボットにその作業をさせると、相当巨大になる。そこでパレタイズとデパレタイズに特化した大型なタイプを開発した」と明かす。
また、前回展で発表した回転モジュール「RMR」を、具体的なアプリケーション(活用方法)を含めて展示した。
RMRはロボットの関節用のモジュール(機能に必要な要素をまとめた複合部品)で、同製品と直行軸を組み合わせた3種類のパターンを中心に提案した。
パターン化に合わせて、制御ソフトウエアも開発。操作画面は、ロボットの初心者でも分かりやすく操作できるように、イラストなどを多用した。
3パターンの一つでは、回転モジュール4つの垂直多関節ロボットと上下動する直行軸を組み合わせた。対象物(ワーク)の上下動させて移動させる場合やワークを積み上げる作業に使える。
二つ目は、回転モジュール4つの垂直多関節ロボットと左右に動く直行軸の組み合わせだ。ワークの移動や生産ラインで工程間をまたいで作業させたい場合に向く。
三つ目は、回転モジュール4つの垂直多関節ロボット2台と左右に動く直行軸の組み合わせという。2台の垂直多関節ロボットの協調作業で、より高度な作業に使える。
星野常務は「ちょっとした作業の自動化などに、システムインテグレーター(SIer、エスアイアー)やユーザーが自分に合ったロボットを簡単に自作するために、組み合わせやすいモジュール単位で販売するのがRMRの当初のコンセプトだった。発売してみると、主に3パターンでユーザーのニーズに対応できるとわかってきた。そこで、その代表的な構築例では制御ソフトも充実させて、初心者でも使いやすいようにした」と話す。
(曽根勇也、松川裕希、西塚将喜)
                            
            
            
            
