[沖縄ウィークvol.3]ロボットで従業員を重労働から解放/那覇王冠
沖縄県の自動化ニーズの現況を1週間にわたり紹介する「沖縄ウィーク」。3日目は、県内でも珍しい、自社工場にロボットを導入した那覇王冠(沖縄県糸満市、玉城<たまき>幹雄社長)を取り上げる。一斗缶の生産ラインに2台のロボットを導入し、きつい重労働から従業員を解放した。導入を考える企業の“先輩企業”として、玉城社長は「割り切るところは割り切る。沖縄県は市場が小さいので、それに合った形でロボットシステムを運用する必要もある」と割り切ることの重要性を説く。
自社製造品の比率を高める
「きつい」作業をロボットに
今回取材したもずく用の一斗缶は、天板(上ぶた)のないオープンな缶だ。 ①0.3mmの薄い鉄板を丸める ②つなぎ目を溶接 ③円筒状の缶胴を四角形に成形 ④強度を高めるため、缶胴の側面に凹凸を付けるエンボス加工をする ⑤缶胴の底を折り曲げる ⑥缶胴の底に、地板(底ぶた)をかぶせて密閉(巻き締め)する ⑦缶の上部の縁を外側にカールさせる ⑧検査 ――という流れで作られる。 ロボットシステムを導入したのは、⑦の縁をカールさせる工程。従来は人が専用の機械に缶をセットしてから、足元のペダルを踏んで成形加工をしていた。人がやっていた作業をそのままロボットシステムに置き換えた格好だ。 玉城社長は「缶を機械にセットして、ペダルを踏むという一連の作業を、これまでは複数の従業員が交代でやってきた。従業員からは『かなりきつい。改善してほしい』と要望されていた。また、人を増やそうと採用活動に注力しても人もなかなか集まらない。こうした中で、SIerのカサイエレックと別の案件で知り合ったことがきっかけで、ロボットを導入した」と振り返る。