生産現場のロボット化と自動化を支援するウェブマガジン

2020.05.21

連載

[SIerを訪ねてvol.14]ロボの力を常に100%にする会社【前編】/松栄テクノサービス

今回紹介するシステムインテグレーター(SIer、エスアイアー)は、愛知県に本社を構える松栄テクノサービス(愛知県長久手市、加藤正己社長)。メンテナンス事業に強みを持ち、ロボットの動作変更や、年に1度や数年に1度の忘れがちな作業であるバッテリーや潤滑油(グリス)の交換などを請け負う。トラブルなどで生産ラインが止まることのないようにサポートし「ロボットの力を100%発揮できるようにして、生産性を高めるお手伝いをする会社」と豊重広泰常務は分析する。

産ロボのメンテならおかませ

 松栄テクノサービスの事業の中心はロボットのメンテナンスだ。
 一般的なSIerのイメージは、ロボットシステムを構築して導入するまでをメインに請け負い、付随業務として自社が手掛けたシステムのアフターサービスをする程度だが、同社は売り上げの6~7割ほどをメンテナンス事業が占める。豊重広泰常務も「うちは産業ロボットの総合メンテナンス会社」と自信を見せる。

 定期契約をしているわけではなく、営業が顧客を回り時期に応じた点検を促す。バッテリーやグリスなど、年に1度、あるいは数年に1度しか交換しない物は、つい忘れがちだ。だが、そうした小さなミスがトラブルにつながり、生産ラインを止める原因になることもある。そうした顧客のうっかりをカバーしている。

 また、顧客の工場にどのようなロボットが入っているかをデータベースで番号管理しており、問い合わせ時に番号を伝えてもらえば、どんな動作をするロボットか、過去にどのようなトラブルが起きたのか、どう対応したかなどを確認できる。そのため、各ロボットのメンテナンス履歴などに応じた最適な対応が可能だ。

事前にトラブルを防ぐため

メンテナンスに必要なパーツをストック

 ホームページを通じて広域の顧客からの問い合わせもある。ファナックや安川電機など、メーカー問わずロボットのメンテナンスはできるが、修理はできない。修理の際は、メーカーに依頼してもらうのが基本となる。そのため急を要する修理などではなく、事前に予定を組めるグリス交換や診断、再ティーチング(ロボットにさせる動作の変更)など、トラブルを事前に防ぐための作業を請け負う。

 ただし、長年取引のあったパナソニックに関しては、サービス認定店となっているため修理も含めた全てのサービスを担う。修理の依頼は自動車関連の顧客からが多く、迅速な解決が求められる。データベースによる管理や部品の在庫をそろえることで、そのほとんどを24時間以内に復旧させるという。

TOP