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2019.05.17

イベント

中国の自動化提案は先進国に負けてない?!/第16回中国国際工作機械展覧会(1/3)

中国国内で最大規模の工作機械の展示会「第16回中国国際工作機械展覧会(CIMT2019)」が4月15日~20日、北京市の中国国際展覧センター新館で開かれた。人件費の上昇や厳格な残業規制などの影響で、中国国内では自動化のニーズがここ数年で急速に高まった。会場でも工作機械メーカーは自動化を積極的に提案した。また産業用ロボットメーカーが多く出展したホールは常に来場者で混雑していた。中国での自動化トレンドを探りたい。

世界4大工作機械見本市の一つ

日本メーカーの社長らも出席した開会式

 CIMTは、世界4大工作機械見本市の一つとされる。今回は全14ホールで14.2万㎡、1700社以上が出展し過去最大の規模になった。計6日間で前回比2.5%増の13万9000人が来場した。米中貿易摩擦などで中国経済の低迷局面と見込まれていたが、来場者数では好景気だった前回展を上回り、設備投資意欲が大きくは減退していない様子がうかがえた。

中国版IoTの展示は注目を集めた

 CIMT2019のメインテーマは「スマートな未来を共に勝ち取ろう」。
 主催者企画では、中国版モノのインターネット(IoT)プラットフォームの「NC-Link」を使い、会場内の工作機械をつないだ。それら機械の稼働状況を会場内のモニターに映し出し、来場者に披露した。

“地産地消”が進む海外メーカー

DMG森精機はロボットシステム「マトリス」などを提案

 会場内では、日本や欧州などの海外メーカーを中心に、複数工程を1台で自動化するロボット提案が目立った。

 工作機械の世界的なメーカーのDMG森精機は、回転する刃物を当てて加工材料を削るマシニングセンタ(MC)と呼ばれるタイプの金属加工機にロボットシステムを組み合わせて提案した。
 ロボットシステム「MATRIS(マトリス)」は、垂直多関節ロボットを中心に「運搬」「ストック」「計測」など用途ごとのユニットを組み合わせて構成する。ユニット単位で管理や移動ができるためレイアウトの変更が簡単で、各ユニットとロボットの動作を入力するティーチングを一括でできる。

 今回展示したロボットシステムは同社の中国法人が構築した。さらに加工機「CMX1100」は天津市にある同社の工場で製造したもの。
 2007年から中国法人に就く担当者は「中国国内では、この3年ほどで急速に自動化への関心が高まった。現段階では関心は高いが自動化設備をまだ導入していない顧客が多く、導入が簡単で複数の工程を担えるロボットシステムを提案している。中国政府は25年を目標に製造設備の内需比率を高めている。中国国内で製造すると補助金が付きやすいなど、反応は一段と良くなる」と話す。

ABBは加工と測定の自動化ラインを展示した

 産業用ロボットの世界4大メーカーの一つ、スイスのABBは完全自動化した自動車部品の製造ラインを展示した。複数のロボットと工作機械、センサー、測定装置で構成され、ロボットが加工物を受け渡しながら、自動で2工程の加工と測定をする。

 同社は現在、20年末のしゅん工予定で上海市に新工場を建設している。「われわれは中国を重要な市場に位置付ける。中国の顧客は『海外品質の製品』を『中国製造の価格』で欲しがる。新工場でそのニーズに応える供給量を確保し、拡販を狙う」(現地担当者)。

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