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2024.08.08
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[注目製品PickUp! vol.69]4社コラボで開発! 500万円からの中小向け「食品箱詰め装置」/エプソン販売、フレアオリジナル、エヌアイシ・オートテック、SMC

ハンドは扱う対象物に合わせてカスタマイズ

ベルヌーイグリッパーを装着すれば、吸着しにくいドーナツのような物も扱える

  食品箱詰め装置は仕様を限定してパッケージ化することでコストを抑えたシステムだが、ハンドだけはワークに合わせてカスタマイズして提供する。

 吸盤で吸い着けるタイプだけでなく、特殊なハンドも提供可能だ。例えば、ベルヌーイグリッパーなら穴の開いたドーナツのようなワークの箱詰めにも対応できる。同製品は飛行機の揚力を生み出す原理である「ベルヌーイの定理」を応用し、エアを吹き出すことでワークを吸い着けるグリッパーだ。

 ハンドはSMCの「ハンドリングラボ」でテストでき、最適なものを選択できる。

さらに仲間を増やす

7月に開催された「ロボットテクノロジージャパン2024」のSMCブースで披露した動作デモ

4社は今後の発売に向け、プロジェクトチームのさらなる拡大を図る。中小の食品製造業では、専門の生産技術者がいないため、運用中のサポートの必要性が高い。しかし、サポートのためにSIerなどが現場まで頻繁に足を運ぶと、コストがかさむ。そこで、遠隔監視や遠隔サポートも提供できる体制を整え、安定稼働を可能にする。販売を担うパートナー企業も現在選定を進める。食品製造業界に販路を持つことも重要だが、「中小の食品製造企業の自動化に貢献したい」との理念から始まったプロジェクトであるため、理念を共有できるかも重視する。価格は税別で500万円から。詳細は検討中だが、一定期間のサポートや保守部品の交換なども含めてパッケージとして提供したい考えだ。食品箱詰め装置の有用性をともに検証し、ブラッシュアップに協力してくれる導入実証ユーザーも募集している。まずは食品の箱詰めに焦点を当てたシステムを開発したが、今後は他工程向けのシステムを開発してシリーズ化することも視野に入れる。「食品箱詰め装置の開発は自社だけではできなかった。仲間を増やして広く普及を図り、食品産業の人手不足という大きな社会課題の解決に貢献していきたい」とプロジェクトメンバーは口をそろえる。(ロボットダイジェスト編集デスク曽根勇也)

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