[国際ロボット展 特別リポートvol.11]THKが見据える、自動化普及の「次の段階」
THKは「2022国際ロボット展(iREX2022)」の会場で、新製品の回転モジュール「RMR」を発表した。ロボットの関節用のモジュール(機能に必要な要素をまとめた複合部品)だ。一見すると、要素部品を組み合わせてモジュールにしただけに思えるが、星野京延常務執行役員は「自動化システムの『次の段階』を見据えた戦略的製品」と話す。
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THKは「2022国際ロボット展(iREX2022)」の会場で、新製品の回転モジュール「RMR」を発表した。ロボットの関節用のモジュール(機能に必要な要素をまとめた複合部品)だ。一見すると、要素部品を組み合わせてモジュールにしただけに思えるが、星野京延常務執行役員は「自動化システムの『次の段階』を見据えた戦略的製品」と話す。
「2022国際ロボット展(iREX2022)」の会場で特に多かったのが、物流向けの自動化システムだ。物流分野では自動化投資が活発で、各社が相次いで新製品を投入する。川崎重工業は今回、「安全安心リモート社会」「近未来モビリティ」「物流ソリューション」の3つのテーマで出展した。最も来場者の目を引いたのは、周囲をクリアパネルで囲った物流ソリューションだ。
特別リポートvol.3で取り上げた以外にも、「2022国際ロボット展(iREX2022)」の会場では協働ロボットの展示が目立つ。ドイツや中国メーカーのロボットを販売するリョーサンや、Dobot(ドゥーボット)ブランドで展開する中国Shenzhen Yuejiang Technology(深圳市越疆科技)、住友商事グループ傘下の住友商事マシネックス(東京都千代田区、佐橋明三社長)なども協働ロボットシステムを展示した。
特別リポートのVol.2ではファナックの協働ロボットを紹介したが、「2022国際ロボット展(iREX2022)」で協働ロボットを展示の目玉に据えたのは同社だけではない。協働ロボット最大手のユニバーサルロボット(UR、日本支社=東京都港区、山根剛代表)はもちろん、ヤマハ発動機や日栄機工(愛知県豊田市、川元敦史社長)なども協働ロボットの提案に力を入れる。
「2022国際ロボット展(iREX2022)特別リポート」のvol.2以降は、各社の展示を中心に紹介する。今回展では安全柵が不要な協働ロボットが改めて注目を浴びた。各社ラインアップを拡充し、可搬質量の小さい機種から大きい機種までをフルラインアップしてさまざまな活用法を提案した。特に東4ホールに最大級の小間を構えたファナックの協働ロボットの新機種は、大きな注目を集めた。
デンソーウェーブ(愛知県阿久比町、相良隆義社長)は、3月3日から開催している自社展示会で新型の協働ロボット「COBOTTA PRO(コボッタプロ)」を世界初披露した。コボッタプロの強みは動作の速さと操作の簡単さにあり、部品の搬送作業や複雑で精密な組立作業などの自動化に力を発揮する。自社展示会の開催に先立って3月1日には記者会見を開き、コボッタプロの特徴やデモを報道陣に公開した。
ドイツに本拠地を置く真空機器メーカーの日本法人、シュマルツ(横浜市都筑区、ゲッテゲンス・アーネ社長)は3月2日、オート・ツール・チェンジャー「MATCH」を発売したと発表した。
早稲田大学発のロボットベンチャー企業の東京ロボティクス(東京都新宿区、坂本義弘社長)は3月6日、物流向けロボット「モバイルグリッパ」の製品版プロトタイプを開発したと発表した。
遠隔操作技術に強みを持つロボットベンチャー企業のTelexistence (テレイグジスタンス、東京都中央区、富岡仁最高経営責任者<CEO>)は3月4日、ニチレイロジグループ本社(東京都中央区、梅澤一彦社長)と共同で、新開発の物流向けロボットシステムの実証実験を実施した。箱を上からではなく横から吸着することで、保冷カバー付きのカゴ台車でも高い積載効率を実現する。
ロボットはロボットハンドなどの周辺機器と組み合わせて、初めて具体的な用途に使える。そのためロボットの扱いやすさは、周辺機器にも左右される。そこで周辺機器を包括的にラインアップして提案する企業が増えている。OnRobot(オンロボット、日本法人=東京都渋谷区、鈴木孝代表)は、協働ロボット向けの豊富な製品群で顧客の要望に応える。また、アジリル(日本法人=横浜市緑区、ロベール・シャンプー社長)は独自のパーツフィーダーなどでピッキング作業を簡単にする。