[特集 物流機器は新世代へvol.1] かつてないほどの注目浴びる物流自動化・省人化
押し寄せるイノベーションの波
「物流の自動化・省人化」に大きな注目が集まっている。自動化投資が従来のような生産性向上やコスト低減だけでなく、密集対策や事業継続計画(BCP)としての価値を持ち始めた。足元では市況の悪化から投資を縮小する動きも一部あるが、中長期的に見れば、物流の自動化が今後一層進むことは間違いない。実際、自動化関連の機器メーカーの中には、引き合いが増えていると話す企業も少なくない。 コロナ禍もあって物流自動化の位置付けは大きく変わったが、同時に技術面でもいま、物流機器は大きな変革期を迎えている。人工知能(AI)やモノのインターネット(IoT)を活用する提案が増え、これまで自動化しにくかった作業まで自動化する事例も相次ぐ。ロボットの自律移動を可能にするSLAM(スラム)技術も普及し、新たな方式の自動化機器も多数提案される。 先が見通せない「VUCA(ブーカ=不安定さ・不確実性・複雑性・曖昧性を意味する英語の頭文字)の時代と言われる中で、投資リスクを抑えて柔軟に運用できる設備提案も盛んだ。 ベンチャー企業との協業も増え、物流機器はいま「イノベーションが盛んな業界」だと断言できる。
最新提案の一端を
ロボットダイジェストでは今回の特集を通し、自動化に寄与する物流機器の最新提案の一端を紹介する。 3月9日~12日には愛知県で物流業界で最大級の展示会「国際物流総合展2021」が開催される。会場で披露されるシステムも一足先に紹介するが、コロナ禍により今回展への出展を見合わせた企業もある。そこで本特集は、同展への出展の有無を問わず、最新提案を取り上げる。 また、日本物流システム機器協会の土田剛会長(IHI産業システム・汎用機械事業領域副事業領域長)や、日本ロジスティクスシステム協会(会長・遠藤信博NEC会長)の寺田大泉常務理事のインタビューも掲載する。物流業界の課題や今後の展望などが分かるはずだ。 物流は、あらゆる企業にとって重要なテーマとなり得る。物流関連の事業を手掛ける企業はもとより、製造業でも生産に伴う構内物流の改善は利益増大に直結する。 今回、特集のテーマを「物流機器は新世代へ ~一線画す最新の自動化技術~」とした。物流を自動化する機器は急速に進化し、新世代へと移行しつつある。経済活動の中で感染症対策も求められるようになり、また自動化機器にイノベーションが起きているこのタイミングは、物流システムを見直すまたとない機会だ。
(ロボットダイジェスト編集デスク 曽根勇也)