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2022.03.25

[国際ロボット展 特別リポートvol.15]高コスパの中国製協働ロボで国内深耕/進和・JAKAロボティクス

関節は2種類のみで、修理できる

ロボットの根本から3つの関節と、ロボットの先端から3つはそれぞれ同じ関節ユニット

 また、メンテナンスのしやすさもJAKAの特徴の一つだ。垂直多関節ロボットの故障や不具合は、回転する関節周辺に集中する。
 そこで、JAKAのロボットは関節部分をユニットごと取り替えられる構造になっている。取り替えた後の再設定も簡単に済む。

 しかも、関節ユニットの種類が少ない。ロボットの根本から3つの関節は同じ形状のユニットを向きを変えてつなげている。また、ロボットの先端から3つも同じ種類のユニットだ。
 つまり、1台のロボットを構成する関節の部品は2種類だけ。そのため、突然の故障に備えて持つスペア部品も最小限で済む。

 内田取締役は「そもそも、顧客による分解や修理を推奨しない協働ロボットメーカーが多い。故障時のスペアを用意するならば、別途で本体1台が要る。対して、JAKAは関節部分だけ備えればよいので、そういったランニングコストまで入れると、半額以下になるケースが多い」と胸を張る。

大学発の開発力

ロボット実機(=左)と画面上のシミュレーションのロボットが同じ姿勢

 これほど低価格な一方、教示やメンテナンスを含めて扱いやすいのはなぜか?
 内田取締役は「JAKAロボティクスは大学発の企業で、技術開発は大学の研究の成果を生かせる」ことを理由に挙げる。
 同社は上海交通大学のロボット研究所を母体に、14年に中国で創業した。技術開発では大学と協力して事業を進めている。

 ブース内では、デジタル空間上に現実世界の環境を再現して、シミュレーションできる「デジタルツイン」技術を参考出展し、最新技術への対応力も示した。

 ソフトメーカーのヴィッツ(名古屋市中区、服部博行)のデジタルツインソフト「SFツイン」を使い、デジタル空間にJAKAのロボットや周囲の環境を再現した。
 そこで稼働のシミュレーションをして、周囲の物とぶつかる干渉のチェックや、安全なエリアを確認できる。その動作をロボットの実機に転送するだけで教示が済む「オフラインティーチング」にも対応する。

 内田取締役は「これまで国内では自動車や金属加工向けの提案が多かった。最新技術を取り入れながら、今後は低価格と扱いやすさを武器にロボットの扱いに不慣れな中小製造業や食品業界など、幅広い分野に本格進出したい」と意気込む。

(ロボットダイジェスト編集部 西塚将喜)


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