生産現場のロボット化と自動化を支援するウェブマガジン

2021.01.15

連載

[お嫌いですか、ロボットは?#11]盛りの良さより組み合わせ

きらびやかに輝く都会の片隅にたたずむ1軒の老舗バー「王道」。
システムインテグレーター(SIer、エスアイアー)の次長・たにがわじろう行きつけのバーで、酒を酌みながらふと思い出す昔ばなし。酔った勢いで、他では語られない業界の裏話はまさに実話。アブナイ話も所詮は酔っ払いの戯れ言。悪しからず。


たにがわじろう……SIerの次長。機械商社で産業用ロボットを導入した自動化の経験を買われ、10年前に新設されたSIerにヘッドハントされる。入社以来ずっと次長のまま。52歳のバツイチ。

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――いらっしゃいませ。
マスター元気?いやあ、今週も疲れたわ。

――おや? 今夜はネクタイ姿じゃないんですね。上着の下はタートルネックですか?
 そうなんだよ、今週からまたリモートワークだってさ。社外との打ち合わせも音声だけのリモートだからこれでいいのさ。それにしてもさぁ「在宅勤務」って言えよフツーに。4文字で済むんだし。少し前まで「SOHO」なんて言ってたくせに、急にしたり顔で「リモート」だってさ。そういうヤツに限って、平気で外国人にも「パソコン」って言って不思議な顔されるんだ。意味分かって使ってんのか?って問い詰めたくなるよ。

――いつものでいいですか? ジャックソーダで。
 うん、頼むわ。レモンをぎゅっとしぼってね。え~っと、今夜のおすすめは「チーズとドライフルーツの盛り合わせ」か。しゃれてるねぇ。でも要は日持ちのいいものしか仕入れてないんでしょ? 時短営業で客が減って。盛り合わせと言えば思い出すよ。今じゃ当たり前になったロボットのセットメニューを。これこそ、要するに盛り合わせだよなぁ……………。

 これまで産業用ロボットと言えば、同業者との競争激化とか、人件費の高騰とかに対し、とにかくコストを削減するために導入されることが多かった。そのために頭を使うのが俺たちSIerの仕事だった。

 ない知恵を絞って、引き出しに放り込んできた経験をあれこれ組み合わせ、次から次へと出てくる新製品とも組み合わせたりしてね。こうして一杯やりながら、思い出したようにブツブツ独り言を言うのも、パッとアイデアがひらめいた時だったりするんだよ。マスターには、そうは見えないだろうと思うけどさ。

 でもさ、去年の春ぐらい、いや春の大型連休が終わったころから、少し様子が変わり始めたんだよ。要するにきっかけは、今の新型コロナウイルスさ。感染防止のため「作業者が密にならないように」「接触しないで済むように」って、ロボットを入れられないかの相談が増えたんだ。

 ロボットや周辺機器が急速に進化したおかげで、ロボットに動作を教えて覚えさせる「ティーチング」作業は随分と楽になった。そうだなぁ3、4年前と比べただけでも雲泥の差。今じゃ人工知能(AI)を使って、簡単な作業なら「ティーチングレス」なんていうのもある。実際には完全なレスなんてのは難しいんだけどね。

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