生産現場のロボット化と自動化を支援するウェブマガジン

2020.11.27

連載

[お嫌いですか、ロボットは?#7]2位がダメなんです(下)

きらびやかに輝く都会の片隅にたたずむ1軒の老舗バー「王道」。
システムインテグレーター(SIer、エスアイアー)の次長・たにがわじろう行きつけのバーで、酒を酌みながらふと思い出す昔ばなし。酔った勢いで、他では語られない業界の裏話はまさに実話。アブナイ話も所詮は酔っ払いの戯れ言。悪しからず。


たにがわじろう……SIerの次長。機械商社で産業用ロボットを導入した自動化の経験を買われ、10年前に新設されたSIerにヘッドハントされる。入社以来ずっと次長のまま。52歳のバツイチ。

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「2位がダメなんです(上)」はこちらから

――で、どうなったんですかその案件は。いつもと同じで、大成功でシャンシャンってハズはないですよね?
 まあまあマスター、そう焦らずに。ふわっとろっオムレツもらうわ。ドリンクのお代わり頂戴。

――同じものでいいですか? ジャックソーダで。
 うん、頼むわ。レモンをぎゅっとしぼってね。マスターも、良かったら何か一杯飲んでよ……………。

 計画はだいたいうまくいったよ。工場の天井の、ロボットの真上辺りに3次元の画像センサーをつり下げ、ロボットハンドにも触覚センサーを付けてさ。滑り出しは順調だった。弁当のおかずランキングで鉄板1位の卵焼きなんて、硬めでも柔らかめでもスッとつかみ、型崩れさせることなくうまいことぴたりと容器に収めるんだ。

 人と協働作業させてもそん色はない。むしろ、ロボットの後工程を担ったベテランパートが、ロボットに気を取られて作業が遅れ、慌てて卵焼きを落としてしまうぐらい。いきなりロボットの隣じゃパートも慌てるさ。現場の慣れと、ロボットの作業スピードの調整で何とかなった。2代目も喜んでさ。本格的にロボット導入となれば、米国で経営学修士(MBA)取らせてる息子が帰ってきたら、会社をどこまでも大きくできると震えたらしい。

 2代目はかねがね、酔うと「給食会社を継がせるために息子を留学させたんじゃない。食を通じた健康サービス会社にするんだ」と。総合商社を志望して、会社を継ぐ気なんてさらさらなかった息子を米国に行かせたんだ。起業家の意識を持たせようと、将来の3代目を現地のスタートアップ企業でインターンさせてるよ。これまで何度も、自慢話を聞かされた。

  
 実験では「焼肉・しょうが焼き」「とんかつ」「焼き魚・煮魚」「エビフライ」「赤ウインナー」「ハンバーグ」と、人気ランキングで上位を占めるお弁当のおかずの容器詰めを次々にこなした。女性に上位人気の「きんぴらごぼう」「サラダ・生野菜」もこなした。きんぴらごぼうは不足しがちな繊維質がとれるって、意外にも若い女性の人気が高いらしい。「サラダ・生野菜」は最初苦戦したんだけど、あらかじめ薄いフィルム容器に入れておくことで、容器に詰めやすくした。ちなみにこれは、SIerたる俺が出したアイデアだけどね。

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