生産現場のロボット化と自動化を支援するウェブマガジン

2020.11.20

連載

[お嫌いですか、ロボットは?#7]2位がダメなんです(上)

きらびやかに輝く都会の片隅にたたずむ1軒の老舗バー「王道」。
システムインテグレーター(SIer、エスアイアー)の次長・たにがわじろう行きつけのバーで、酒を酌みながらふと思い出す昔ばなし。酔った勢いで、他では語られない業界の裏話はまさに実話。アブナイ話も所詮は酔っ払いの戯れ言。悪しからず。


たにがわじろう……SIerの次長。機械商社で産業用ロボットを導入した自動化の経験を買われ、10年前に新設されたSIerにヘッドハントされる。入社以来ずっと次長のまま。52歳のバツイチ。

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――いらっしゃいませ。
マスター元気? いやあ、今週も疲れたわ。

――いつにも増して、えらくお疲れですね?
 そうなんだよ、参っちゃうよね。11月も終盤でしょ。今年はコロナ騒ぎで売り上げが立たなかったから、年末に向けて少しはリカバーしないとね。数字を上げて、若手に示さなきゃならんから大変だよ。当の若手は、俺の頑張りなんか全く意識していないんだけどねぇ。

――いつものでいいですか? ジャックソーダで。
 うん、頼むわ。レモンをぎゅっとしぼってね。え~っと、今夜のおすすめは「ふわっとろっオムレツ」か。卵料理と言えば、卵焼きは弁当のおかずランキングでは男女を問わず鉄板の1位だからね。3年前にやった弁当屋の案件を思い出すよ。弁当屋って言っちゃいけないな、今じゃ「食を通じた健康サービス会社」か。あれはホントに参ったし、苦労したなぁ……………。

 名古屋市港区にある、会社や幼稚園向けに給食や弁当を製造、販売する会社の案件だった。前日の午後3時までに注文すれば、配送用のバンで昼までに届け、午後は空容器を回収する。幼稚園向けもやってるけど、メインは社員食堂がない中小企業向け。家族経営ぐらいの零細企業だと経理の母ちゃんが昼飯作るし、そもそも数が少ないから割に合わない。従業員が20~50人ぐらいまでの中堅企業に的を絞って急成長した。

 今じゃ愛知県内におかず工場が7カ所、ご飯だけ炊く炊飯工場が1カ所の計8工場で1日8万食作るんだ。1工場につき最大で2万食だよ。個人経営の弁当屋だった店を、2代目のやり手社長が一代で大きくした。いずれは名古屋市内や愛知県内だけでなく、製造業が集まる三重県東部から岐阜県の南部、静岡県西部の浜松ぐらいまでの一円で30万食売るんだって。とにかく、野心を隠さない社長だったよ。息子を米国の大学院に入学させて、経営学修士(MBA)を取った息子が来年帰ってくるんだ。

 で、俺はその会社に、ずっと狙いをつけてたわけ。「ごめんください」って正面から行ったって相手にされないから、ウチの会社でそこの給食を取ったりしてさ。600円と800円と1000円の弁当で、会社負担2割を総務に認めさせれば1食ワンコインでおつりがくるでしょ。500円超えたら、若手はコンビニ弁当を選ぶからさ。会議の時は1000円の弁当を頼んでツテだけはつかんでおいた。それから社長に会って自動化を勧めたのが3年前さ。 

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