生産現場のロボット化と自動化を支援するウェブマガジン

2020.10.16

連載

[お嫌いですか、ロボットは?#3]荷台は2台にとどまらない(上)

きらびやかに輝く都会の片隅にたたずむ1軒の老舗バー「王道」。
システムインテグレーター(SIer、エスアイアー)の次長・たにがわじろう行きつけのバーで、酒を酌みながらふと思い出す昔ばなし。酔った勢いで、他では語られない業界の裏話はまさに実話。アブナイ話も所詮は酔っ払いの戯れ言。悪しからず。


たにがわじろう……SIerの次長。機械商社で産業用ロボットを導入した自動化の経験を買われ、10年前に新設されたSIerにヘッドハントされる。入社以来ずっと次長のまま。52歳のバツイチ。

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――いらっしゃいませ。
 マスター元気? いやあ、今週も疲れたわ。

――今日はえらい大荷物ですね。何かあったんですか?
 早いもんで、そろそろお歳暮シーズンなんだってさ。コロナ騒ぎで総務部まで在宅勤務で、各部で調達して発送するようになった。上司から「さすがに品物選びは若手には任せられない」って、カタログを5冊も渡されてさ。まいっちゃうよ、重くて。今どき歳暮や中元を送っていたなんて、今日まで知らなかったよ。

――いつものでいいですか? ジャックソーダで。
 うん、頼むわ。レモンをぎゅっとしぼってね。え~っと、今夜のおすすめは「スペイン産生ハムとサラミの盛り合わせ」か。へぇー。

――宅配便で今日届いたんです。味見したら結構いけましたよ。
 宅配便と言えば、運送会社の案件を思い出すよ。6、7年前だったっけなぁ、選手団主将だった葛西紀明が、ソチの冬季五輪で銅メダルを取って世界最年長記録を更新した年だから2014年だっけなぁ……………。

 名古屋市南部にある運送会社から相談を受けてさ。たしか「取引する通信販売会社の物流センター業務を自動化できないか?」って案件だった。運送会社の建屋の上階にある倉庫に衣料品や生活雑貨の在庫を置いた物流センターで、客からの注文書を基に商品を取り出し、梱包をして、自社の混載便で全国に発送していた。

 それまでは女性のパートと手の空いた社員が人海戦術でこなしていたんだけど、07年に自動車免許の区分が変わってから、普通車免許じゃ4t積みのトラックを運転できなくなった。高卒の新入社員は、入社後に中型免許を取らせなきゃならない。新人研修の後に教習所に通わせるから半年以上は現場に回せない。運転手が足りなくなり、ベテランや中堅社員はそのカバーに回るから、センターに回せる人手が足らなくなったんだ。

 俺たちSIerは、ロボットメーカーや、自動倉庫やベルトコンベヤーなどを扱うマテハンメーカーのエンジニアらと案をぶつけ合ってアイデアを練ったんだ。センターのフロアを、たくさん売れる商品をまとめた「自動ピッキング棚エリア」と、たまにしか売れない「手動ピッキング棚エリア」に区分する。その両エリアをベルトコンベヤーでつないで、最後は客先ごとに段ボール箱に詰め合わせて梱包する仕組みを考えた。

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